歯のコラム column

歯科での麻酔後の動悸について

2025.04.20

口腔外科

仙台市若林区新寺の予防管理型歯科医院の歯科医師のNです。

歯科医院で麻酔をした後、「なんだかドキドキするな…」と感じたことはありませんか?

これは、麻酔薬に血管を縮めるお薬が含まれているためなのです。

 

麻酔薬の成分

歯科麻酔薬には、主に2つの成分が含まれています。

1. 麻酔薬:痛みを感じにくくするお薬

麻酔薬のメインの効果です。しっかりと効かせることによって、直接歯の神経を触って取り除くことや、歯茎の切開、抜歯も可能になります。

 

2. 血管収縮薬:麻酔薬が効いている時間を長くしたり、出血を抑えるために、血管を縮めるお薬

全身の血管はつながっており常に血が流れているので、歯茎に麻酔薬を打ったとしても、どんどん流れていってしまって麻酔の効果が薄まっていきます。それを防ぐために血管収縮薬を使うことによって血の流れを小さくし、麻酔効果を効果的に発揮させます。また治療をする側の視点として、出血が少なくなるので治療部位が見えやすいという利点もあります。

この血管収縮薬として、アドレナリンというお薬が使われることがあります。

歯科での麻酔後の動悸について

アドレナリンの働き

アドレナリンは、私たちの体の中で作られるホルモンの一種で、ドキドキしたり、興奮したりする時に出てくるものとして知られています。正確には、脳がなんらかの情報を得た際に、アドレナリンのようなホルモンを出すことによって、ドキドキしたり、興奮した時の身体の状態になります。

アドレナリンが血管に作用すると、上記の治療に役立つ効果のほかに

· 心臓がドキドキする

· 血圧が上がる

· 呼吸が速くなる

· 手のひらに汗をかく

· 指先がふるえる

といったことが起こります。

これらの症状は個人差はありますが身体の生理的な反応なので、誰にでも起こり得ます。ただ歯科治療が苦手だったり、トラウマがあって精神的に焦っている場合は、これらの症状によってより焦ってしまうと思います。また過去に震えが止まらなかったといった経験があると、またそうなったらどうしようと心配することで緊張し、より上記のような症状が強く出ることがあります。

 

ドキドキするのは心配ない?

歯科麻酔薬に含まれるアドレナリンの量はごくわずかです。通常、これらの症状は一時的なものなのでご安心ください。

当院ではもちろん無理に治療を続けることはないので、患者さんが落ち着くまで時間を置きます。また来院されてからでも、体調が悪く麻酔するのが心配だ、と教えていただければ治療内容の変更や延期もできますので、一声かけてください。

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