歯のコラム column
お口だけでない 全身に関係するお口の病気 歯周病
2025.06.22
歯周病仙台市若林区新寺の予防管理型歯科医院ほんま歯科院長の本間です。
本日はお口だけでない、全身に関係する歯周病について話したいと思います。
お口の健康は、単に口腔内の問題にとどまらず、全身の健康と密接に関係しています。特に歯周病は、さまざまな全身疾患のリスクを高めることが近年の研究で明らかになってきています。お口の中が他の皮膚と違って赤く見えるのは、お口の粘膜が薄く血管の流れが見えているためです。そのためお口の中の細菌は容易に血管内に入り込み様々な悪影響を全身に及ぼします。

歯周病と心血管疾患
歯周病菌が血管内に侵入すると、血管を攻撃して血管内の壁が固くなり、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める可能性があります。また、細菌が心臓の弁に付着して感染性心内膜炎を引き起こすことも報告されています。
歯周病と糖尿病
歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼし合う自転車の両輪のような関係にあります。歯周病菌が血管内に入り込むとその炎症により、インスリンの働きを阻害し、血糖コントロールを難しくします。一方、糖尿病によって免疫力が低下すると、感染症である歯周病が悪化しやすくなります。

歯周病と誤嚥性肺炎
高齢者に多い誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌が唾液とともに肺に入り込むことで発症します。歯周病菌が原因となることが多く、嚥下体操、嚥下トレーニング、口腔ケアを徹底することで予防が可能です。
歯周病と妊娠・出産
妊婦が歯周病を患っている場合、早産や低体重児出産のリスクが高まることが指摘されています。歯周病による炎症物質が胎盤に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中の口腔ケアは重要です。 また妊娠中は歯周病菌の大好物である女性ホルモンが何百倍にも増加するため歯周病のリスクが高まり、妊婦さんの歯科検診および歯周病ケアはとても大事です。

歯周病と認知症
歯周病とアルツハイマー型認知症についての研究も最近活発になってきています。歯周病菌が血管内に入り込み、脳内の血管に慢性的な炎症を起こすことで、脳内のアミロイドβの蓄積を促進されて、認知症が進行する可能性があると指摘されています。
歯周病とがん
歯周病とがんの関係についても研究が進んでおり、特に肺がんや大腸がんとの関連が指摘されています。歯周病菌が血流を介して全身にいきわたりあらゆるところで炎症を起こすことが原因で、がんのリスクを高める要因となる可能性があります。
まとめ
歯周病は単なる口腔内の問題ではなく、全身の健康に深く関与しています。定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを行うことで、歯周病を予防し、全身疾患のリスクを低減することが可能です。特に高齢者や妊婦、糖尿病患者などは、口腔の健康管理を徹底することが重要です。