歯のコラム column
昭和と今を比べて見える「予防歯科」の進化 〜訪問歯科の現場から〜
2025.07.14
健康についてこんにちは。仙台市若林区新寺の予防歯科管理型歯科医院、ほんま歯科医院です。
当院では外来診療に加えて、訪問歯科にも力を入れています。地域の皆さまが「自分の歯で、ずっと美味しく、安心して暮らせる」ことを目指し、日々診療に取り組んでいます。
今回は「予防歯科」をテーマに、昭和の時代と今とで、どのような違いがあるのか。そして、その変化が訪問歯科の現場にどんな影響を与えているのかについて、お話ししてみたいと思います。

昭和の歯科医療:歯が悪くなってから行くところ
昭和の頃、「歯医者は虫歯ができたら行く場所」でした。痛くなってから、我慢できなくなってから行く。そんな考えが一般的だったのではないでしょうか。
当時は、歯科の機器や材料も今ほど進化しておらず、麻酔の効きも弱く、治療に痛みを伴うことが多かったため、「歯医者=怖い場所」というイメージも強かったようです。
治療の内容も「削って詰める」「抜いて終わり」といった“対処療法”が中心で、予防という発想はまだ根づいていませんでした。また、お年寄りが総入れ歯になるのも当たり前という時代背景もあり、「歯はいつかなくなるもの」と思っていた方も多かったかもしれません。

現代の歯科:予防が中心に
時代が進むにつれ、歯科医療は大きく進化しました。現在では、「虫歯や歯周病を防ぐ」ことこそが、歯科医院の大切な役割とされています。
定期検診、クリーニング、フッ素塗布、歯の磨き方指導など、虫歯や歯周病を未然に防ぐための「予防歯科」が定着しつつあります。さらに、歯周病が糖尿病や心疾患など全身の健康とも深く関係していることが分かってきたことで、「歯の健康=体の健康」として、多くの方が予防に関心を持つようになりました。

訪問歯科の現場で感じる「予防」の大切さ
私たちが行っている訪問歯科診療では、外出が難しいご高齢の方や、寝たきりの方にもお口のケアを届けています。そこで特に感じるのが、「もっと早くから予防に取り組めていれば…」という想いです。
歯が抜けてしまってからでは、食事がしづらくなったり、入れ歯に慣れるまで苦労したり、誤嚥のリスクが高まったりします。お口の中の状態が悪化してからの治療は、体力や生活環境の問題もあり、非常に難しくなることもあります。だからこそ、訪問歯科でも「治療だけでなく予防」に力を入れています。具体的には、以下のような取り組みを行っています。
• 定期的な口腔ケア(プロによるお口の清掃)
• 誤嚥性肺炎を防ぐための舌や口のリハビリ
• ご家族や介護職の方への歯磨き指導
• 入れ歯の調整や清掃指導
これらの取り組みが、患者さんの生活の質(QOL)を高め、「自分の口で食べる喜び」を守ることにつながっていると日々感じています。
何歳からでも始められる予防歯科
予防歯科は、若い方だけのものではありません。実は、何歳からでも始められるのが予防の良さでもあります。
訪問診療の中でも、「もっと早くケアしていれば歯を残せたかも」と悔やむ声と同時に、「今からでも頑張ってみよう」と前向きな声もたくさんいただきます。たとえ歯を失ってしまっていても、入れ歯の手入れや口腔清掃を続けることで、お口の健康は大きく保たれます。予防は、“今この瞬間”から始められるケアなのです。

最後に
昭和の時代と比べて、歯科医療は大きく変わりました。「治療のために行く場所」から、「守るために通う場所」へ。そして、通えない方には、こちらからお伺いする時代になりました。当院では、訪問診療にも対応しております。通院が難しいご家族がいらっしゃる方も、ぜひ一度ご相談ください。
これからも皆さまの健康な毎日を、お口の中からサポートしてまいります。