歯のコラム column
下顎の骨とこどもの反対咬合について
2024.11.03
小児歯科・小児口腔機能管理仙台市若林区の予防管理型歯科医院のほんま歯科の歯科医師のNです。
今回は少し難しい話になりますが顎の骨についてお話します。
下顎の骨は、頭や顔をつくっている骨とは直接くっついておらず、筋肉や腱などによって頭蓋骨にぶら下がるようにできています。これは全身の骨の中でもめずらしい特徴です。この特徴によって下顎は食事における咀嚼や会話における発音・表情形成などの繊細な動きを自在におこなえます。あそびをもたせた状態で他の骨とくっついている下顎の骨は様々な動きに対応できる一方で、かみ合わせやほおづえ、歯ぎしりの癖などの影響を受けやすく、頭蓋骨に対しての下顎の骨のポジションは日々の生活の中で刻々と変化していきます。
歯が並んでいる状態を歯列と呼び、上の歯列の方が下の歯列よりも唇側に来ている状態が教科書的には正常とされ、正常咬合と呼ばれます。
前歯において下の歯列が少し唇側に出てきて、上の歯列と歯の先端同士でかみ合っている状態を切端咬合と呼び、下の歯列の方が上の歯列よりも唇側にある状態を反対咬合と呼びます。
こどものかみ合わせが気になる、上下の歯が反対に生えているから見てほしい、とお子さんをつれた保護者の方が当院に来院された際、お子さんの歯並びが切端咬合や反対咬合になっていることが多いです。
正常咬合以外の歯列を正常咬合に近づける方法の1つに矯正治療があり、当院では子ども向けの矯正治療の1つであるMFT(口腔筋機能療法)を行っています。反対咬合になる原因には様々なものがありますが、そもそもの下顎の骨のサイズが上顎の骨に比べて大きく、物理的に下の歯列が前に出た状態(骨格性の歯列不正)でなければMFTで改善できる場合も多いです。前述の通りかみ合わせは1つに決まっているものではないので、大人に比べて柔らかい骨や筋肉によって成り立っており、成長真っ只中のこどものかみ合わせは、改善のために介入できるチャンスが多いです。お子さんの歯並びが気になる保護者の方、是非一度ご相談ください。