歯のコラム column
実はよくある先天性欠如について
2025.06.08
小児歯科・小児口腔機能管理仙台市若林区新寺の予防管理型歯科医院の歯科医師のNです。
本日は以下の事について書きたいと思います。
え、うちの子、歯が少ない?もしかして「先天性欠如」かも?
知っておきたい原因・影響・治療法
「あれ?うちの子、なかなかこの歯が生えてこないな…」 「もしかして、永久歯の本数が足りない?」
お子さんの歯のことで、そんな心配をされたことはありませんか?もしかしたら、それは「先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」かもしれません。
先天性欠如とは、生まれつき歯の本数が通常よりも少ない状態のこと。実は、意外と多くの方に見られる症状です。今回は、先天性欠如の原因から、放置するとどうなるのか、そしてどのような治療法があるのかについて、解説していきます。

意外と多い?先天性欠如とは
生まれたときから、本来生えてくるはずの歯が存在しないのが先天性欠如です。乳歯と永久歯のどちらにも見られます。特に多いのは、下顎の第二小臼歯(前から5番目の歯)と上顎の側切歯(前から2番目の歯)です。また親知らず(第三大臼歯)も先天性欠如が起こりやすく、左右上下の4本全てがないこともあります。
「うちの子だけ?」と不安に思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。
なぜ?先天性欠如の原因
先天性欠如の明確な原因は、まだはっきりと特定されていません。しかし、遺伝的な要因が強く関わっていると考えられています。また、妊娠中の母親の健康状態や服用した薬の影響なども、可能性として指摘されています。

放置するとどうなる?知っておきたい影響
先天性欠如を放置してしまうと、お口の様々な場所に影響が出てくる可能性があります。
· 歯並びの乱れ: 空いたスペースに隣の歯が傾いてきたり、歯と歯の間に隙間ができたりすることがあります。
· 噛み合わせの悪化: 正常な噛み合わせができず、食べ物をうまく噛めない、顎の関節に負担がかかるなどの問題が生じることがあります。
· 審美的な問題: 特に前歯の欠如は、見た目にコンプレックスを感じてしまう原因になることも。
· 顎の骨の成長への影響: 歯がない部分の顎の骨は、刺激が少なく成長が不十分になることがあります。
どうすればいい?先天性欠如の治療法
先天性欠如の治療法は、欠如している歯の位置や本数、患者さんの年齢、そしてどのような状態を希望するかによって大きく異なります。主な治療法としては、以下のものがあります。
· 矯正治療: 空いたスペースを閉じたり、他の歯を適切な位置に移動させたりすることで、歯並びや噛み合わせを整えます。
· ブリッジ: 欠損部分の両隣の歯を支えにして、人工の歯(ダミーの歯)を固定します。
· インプラント: 顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。他の歯に負担をかけずに、自然な見た目と噛み心地を取り戻せます。
· 自家歯牙移植: ご自身の他の歯(主に親知らずなど)を、歯が欠損している部分に移植する方法です。
· 経過観察: 欠損している本数が少ない、特に問題がないといった場合には、定期的な観察のみで済むこともあります。
どの治療法が最適かは、患者さん一人ひとりの状態によります。
悩まずまずは相談を
「もしかして、うちの子は先天性欠如かも?」と少しでも感じたら、来院・相談してみてください。早期に相談することで、適切な時期に適切な治療を開始でき、将来的なお口のトラブルを防ぐことができます。
