歯のコラム column

歯周病の治療方法

2024.01.15

歯周病

こんにちは。仙台市若林区新寺のほんま歯科の歯科衛生士Wです。
今回のブログは、以前掲載した【定期検診について】の記事の続きです。

https://honma-dental.or.jp/column/detail.html?id=329
こちらでは、歯周病の検査の目的や方法についてお伝えしましたが、実際の歯周病の治療方法について本日はお話していきます。少し専門的な話になりますが、丁寧に皆さんにわかりやすく伝わるように書いていきますので、読んでもらえると嬉しいです。

前回お伝えしたように、歯周病は視診だけでは不十分で、検査やレントゲン等で歯周病の状態を確認した上で行なう必要があります。

歯周病は、「細菌が出す毒素が歯茎や骨に与える影響」と、「元々の噛み合わせや歯ぎしり、食いしばりによって歯や骨に負荷がかかること」
この二つが主な原因になります。

歯周病の治療方法

歯周病治療はステップごとに分けられる

①歯科衛生士による患者さんへのブラッシング指導
②歯科衛生士による歯茎の外に付いている歯石や歯垢などの除去
③歯科衛生士による歯茎の中に付いている歯石や細菌などの除去
④シュガーコントロール
⑤歯ぎしりや食いしばりに対するアプローチ
⑥ 回復を促すための外科的処置
⑦暫間的(ざんかんてき)な固定
⑧抜歯


このような流れです。状態にもよりますが、おおむね①から⑧にかけて進めていきます。
どこまで行うかは、歯周病の状態と患者さんの意思にもよるので、全てを行うわけではありません。歯科衛生士がメインで活躍するのがこの歯周病の治療になります。

歯周病の治療方法

どんなことをするのか、ひとつずつ解説していきます。

① 歯科衛生士による患者さんへのブラッシング指導

先ほどお伝えしたように、歯周病は細菌の毒素が原因で歯茎や骨にダメージを与えます。

その原因となる、細菌(歯垢、プラーク)が歯ブラシで取ることができれば、歯周病を予防することができます。

歯垢、プラークは、毎日綺麗に磨いてるつもりでも、案外残っているものです。

患者さんごとに、歯並びも異なるので、磨きにくいところ、苦手なところ、癖がついてしまって上手に磨けずにいるところがあると思います。

そういったところを、歯科衛生士がブラッシング指導でサポートしていきます。

また、患者さんによって生活スタイルや環境も異なるので、そういった背景も含めて、患者さん1人1人が継続して負担になることなく歯磨きができるようにアドバイスさせて頂きます。

 

②歯科衛生士による歯茎の外に付いている歯石や歯垢などの除去

先ほどお伝えした、歯垢、プラークは患者さん自身が歯ブラシで落とすことができますが、歯石は歯ブラシでは落とすことができません。歯垢は、プラークが残った状態で、唾液中のカルシウムやリンなどと混ざると石灰化して硬くなり、歯石になります。

そういった歯石を、歯科医院専用の器具や機械を使って除去していきます。どんなにしっかり磨いている人でも、歯石は必ずついてきます。歯石がついていることを恥ずかしいと思わないでください。

誰にでも起こること、誰にでもついてくるものです。お口のプロである歯科衛生士がしっかり綺麗にしますので安心して任せてください。


③歯科衛生士による歯茎の中に付いている歯石や細菌などの除去

ここがとっても大切です!!!!②でお話しした歯石の除去と何が違うの?と思った人もいるかもしれません。

歯茎の中と歯茎の外では、歯石の状態が異なります。先ほどお伝えした、歯ぐきの外の歯石は、唾液とプラークが混ざることで石灰したもので、この歯石は、白色または黄白色なのが特徴です。

一方歯ぐきの中の歯石は、歯肉溝浸出液(しにくこうしんしゅつえき)由来のものです。歯肉溝浸出液とは、歯ぐきの周りの組織の代謝に関する酵素や血液や免疫の抗体や歯周病の病原菌など様々が合わさっている組織液のことです。血液と混ざることから、黒褐色なのが特徴で、歯ぐきの外の歯石よりも硬くついていることが多いです。

歯ぐきの中の歯石は、たくさんついていると直視することもできますが、ほとんどが直視できません。そのため、レントゲンで確認したり歯科器具を使って触知して取っていきます。

歯石のつき具合にもよりますが、患者さんになるべく痛みや不快な思いを与えないように、手作業で慎重にとっていくため、数回来院して頂き少しずつ取っていくことが多いです。痛みが心配な方や歯ぐきの深さがある方には、麻酔を使って痛みを気にすることなく歯石を取ることもできます。また、歯石だけでなく、膿や不良肉芽などといった歯周病菌に感染した歯肉も一緒に取っていきます。こちらは、歯ぐきの中にあるドロドロした血のようなものを器具で、すくうイメージで歯茎を直接切り取るわけではないので安心してください。歯ぐきの中の歯石や悪いお肉がそのまま残っていると歯周病の菌が活動的になり、どんどん毒素を吐いて骨を壊したり、歯ぐきを腫らせたりして歯周病を進行させます。

さらに、歯周病由来の口臭にもつながるので、しっかり取る必要があります。

 

④シュガーコントロール

シュガーコントロールとは、お砂糖の取り方についての指導のことです。

お砂糖の取り方と聞くと、むしばをイメージされる方も多いのではないのでしょうか?実は、お砂糖は、歯周病にも関係があるのです。砂糖はタンパク質と結合して、歯周組織(歯肉・骨)を糖化させてしまいます。

糖化すると、老化の原因になり、歯の周りの骨などの組織を壊しやすくなります。つまり、砂糖の摂取量が多いと、むしばの菌だけでなく歯周病の菌も元気になり、歯周病の進行が起こりやすくなるということです。もちろん、砂糖自体を禁止するのではなく、回数や取り方の工夫をアドバイスします。患者さんの生活スタイルなども考慮しますのでご安心ください。

歯周病の治療方法

⑤歯ぎしりや食いしばりに対するアプローチ
初めにお伝えしたように、歯周病の細菌以外の原因は、元々の噛み合わせや歯ぎしり、食いしばりの負荷によって起こるものでしたよね。細菌自体の活動が比較的落ち着いていても、歯に力が加わりすぎると、骨や歯ぐきの周りの繊維に悪影響を及ぼします。
これには、歯並び自体の原因を改善する方法と、歯並び自体は現在の状態のまま対症療法を行う方法があります。
まず、歯並び自体を改善するとなると、矯正になります。
矯正で歯をうごかして、本来の正しい位置に歯を並べて歯にかかる負担を分散させます。
しかし、これには、長い時間や年月がかかります。
自費診療のため、高額な料金がかかります。
矯正で学問的に正しい位置に移動したとしても矯正力に歯自体が耐えられるかといったところもあります。
矯正医師の治療計画や判断になりますが、重度の歯周病の状態では望ましくないかもしれません。
そして、対症療法としてあげられるのは、2つの方法があり、1つ目は、噛み合わせの調整です。
先ほどは、歯自体を並べて力を分散させる方法でしたが、こちらはその患者さんの歯並びのまま、噛み合わせたり歯ぎしりした時に強く当たるところを歯科器具にて調整して歯にかかる負担を少なくする方法です。
これは、歯科医師の判断のもと、歯科医師が行います。


2つ目は、マウスピースを使う方法です。これは、歯ぎしりやくいしばり自体を止める装置ではなく、マウスピースを上の歯と下の歯の間にはさむことで、直接歯にかかる負担を軽減させるのが目的です。
保険が適応できるので、比較的安価に作れるのがメリットです。

⑥ 回復を促すための外科的処置
外科的に歯ぐきを開いて、③で行った歯ぐきの中歯石や細菌などの除去をしたり、骨が部分的に足りないところに歯科用の補填剤を入れたりする手術のことです。
歯ぐきを開いて直接確認できるので、取り残しがほぼなくしっかり歯石や細菌などを除去できます。
保険が適応でき、歯科医院で日帰りで出来ることが多いです。
歯科用の補填剤は、骨を作られる細胞にアプローチされ、骨が作られやすくなります。
必ずしも歯周病の回復に繋がるとは言い切れませんが改善を促すことはできるかもしれません。


⑦暫間的(ざんかんてき)な固定
歯周病が進行して、歯が揺れてきた場合に行う処置です。
ワイヤーを組み込んで歯科用の接着剤で固定したり、接着剤単体で固定する方法です。
固定して歯を残すことができることがメリットですが、清掃性が悪くなり汚れが溜まりやすくなるのがデメリットです。歯周病の進行が必ずしも良くなるわけではないので、固定したとしても、残念ながら歯を残せない場合もあります。

⑧抜歯
歯周病の進行が著しく、歯を残すことが難しいと医師の判断があった場合は抜歯になってしまいます。
歯を抜きたく無い気持ちも重々承知ですが、ポケットが深く最近の溜まり場になりやすい歯を残しておくことで、周りの健康な歯たちも二次被害が起きてしまうことがあります。
ダメになってしまったから抜くのではなく、周りの歯を助けるための環境整備のための抜歯と思っていただけたらと思います。
もちろん抜歯は最終手段であり、患者さんのお気持ちもカウンセリングして、納得いただいてから抜歯になります。
勝手に抜いたり、無理に抜いたりは絶対にしません。ご安心ください。
歯周病は、全世界で最も蔓延している病気として、ギネス記録にも載るくらい身近な生活習慣病です。
歯周病は、心臓病、糖尿病、脳梗塞など全身疾患との関わりも深いことも報告されています。

しかし、歯周病は自分では気付きにくく、症状が出てからでは、著しく進行していることが多いです。そのため、歯医者さんでの定期検診がとても大切です。
ほんま歯科では、健康な方には、3ヶ月に一度のクリーニング、リスクが高い方には、1〜2ヶ月に一度のクリーニングをおすすめさせて頂いてます。「最近歯医者さんに行ってないな」という方。
歯周病について気になる方。歯茎の調子がすぐれない方。ほんま歯科にお任せください。
全力でサポートさせて頂きます。今回は、歯周病の治療についてお話しました。

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