歯のコラム column
オーラルフレイルについて
2023.05.31
未指定こんにちは。歯科衛生士のAです。
みなさんは、「オーラルフレイル」とは何か、ご存じ
でしょうか。
高齢者の方の健康寿命が延びてきている昨今、「人生百年時代」につき人生の寿命が男女ともに100歳となってきていることは周知の通りになりました。それにより、高齢者のQOLが大切となってきています。
今回は、「オーラルフレイル」についてお話したいと思います。
『オーラルフレイル』とは
オーラルフレイルとは、口腔機能の低下を含んだ摂食嚥下機能の衰えの一つであるとされていて、また、高齢に伴う筋力の低下や低栄養の状態を示す「フレイル」の1つであるとも定義されています。
そして、超高齢化社会の今、高齢者は「食べる」ことを生きがいや楽しみにしている人が多くいらっしゃいます。このため、オーラルフレイルが進行することによって摂食嚥下ができなくなる可能性があり、「食べる」ことの楽しみがなくなってしまう可能性があります。
予防策について
摂食嚥下とは、食物を認識して口に取り込むことに始まり胃に至るまでの一連の過程を指します。
この摂食嚥下は食べる上でとても重要な動作でもあり、これが摂食嚥下機能の衰えによってできなくなってしまうことで低栄養状態を引き起こします。
この状態がいわゆる「オーラルフレイル」の状態を示しています。
そこからオーラルフレイルが悪化することで「サルコペニア」という加齢による筋肉量の減少および筋力の低下が起きてきてしまいます。この悪循環の事を「フレイル・サイクル」と言い、転倒の原因や要介護状態の原因ともなってしまいます。
予防策として、「プレフレイル」などの、ささいな口腔内の変化、摂食嚥下能力の低下などのサインに気付いていただくことが大切です。
オーラルフレイルという概念は2015年に提唱されたものであり、その症状として滑舌の低
下、わずかなむせ、口輪筋(口周りの筋肉の名称)の筋力の低下による飲水力の低下、食べ
こぼしなどが挙げられます。こういった症状がある場合はなるべく早く歯科に行くことで
フレイルを事前に防ぎ、健康な?状態を保てるので、オーラルフレイルのサインは見逃さ
ないようにしましょう。
そして、オーラルフレイルを有する高齢者は、全身的フレイルが進行し、サルコペニアが重症化していく傾向にあります。
近年、8020運動など歯科に関する包括的なアプローチが増えてきています。
しかし、ただ単に歯を多く残すだけではなく、良好なお口の中の機能の維持、清掃しやすい状況の確保、唾液分泌を促進するための唾液腺マッサージや嚥下体操および適切な食事形態を確保するといったことが大切になってきます。
ご家庭でも行えるオーラルフレイルの予防法として、先ほど挙げた唾液腺マッサージ、嚥下体操とは一体どんなものなのか、適切な食事形態とはどんなものなのか次回から改めて詳しく説明していきます。