歯のコラム column

子どもの口もとの発達の遅れ

2023.04.12

未指定

仙台市若林区のほんま歯科院長の本間です。

今日は「子どもの口もとの発達の遅れ」について書こうと思います。

最近のお子さんたちの虫歯の数は非常に減少しています。

(正確に言えば小学生は減っており、高校生は増えています。これは受験勉強が影響しています)

しかしながら、口元の発達の遅れという別の問題が大きくなってきました。

特に新型コロナによってマスク生活を余儀なくされた影響は大きいです。

まず、私は当院にいらしたお子さんと最初にお話しする時に、そのお子さんの顔や顎の特徴をみています。

私がよくみているのは、

①顎のカタチ

食いしばりが強いか、片方ばかりで噛み締めていないか、よく噛んで食べて

いるか、変な癖、例えば頬杖や指しゃぶり、寝る時の姿勢が悪くないか

②口元の筋肉、唇の形

口元の筋肉が弱いと唇が厚くなる、口呼吸してないか、偏った噛み方をして

ないか、乳幼児嚥下(嚥下とは食べ物や飲み物をゴクンと飲み込む動作の事)

が残っているか(本来、成長の段階で変化するのだが、それが変わらないまま成長)

③目の形

口呼吸や乳幼児嚥下の人は舌の筋肉が弱い為、その影響で表情筋が弱く、目じりが下がりやすくなるです。

食生活やアレルギー性鼻炎の低年齢化による歯並びへの影響

以前、私のブログでも書いたのですが、最近のお子さんは歯並びが悪くなっています。それも低年齢化しています。

一昔前までは乳歯の歯並びが良いと、大人の歯並びは悪くなるよと言っておりましたが(大人の前歯は子どもの前歯よりも大きいから)、今は乳歯の段階で既に歯並びが悪い子がいるのです。これには現在の食生活やアレルギー性鼻炎の低年齢化が大きく影響しています。

食生活に関しては

①母乳育児の減少

これはこれからの社会において、増加するかもしれませんが、哺乳瓶の吸い口

の形を母乳を吸うのが大変なように力を入れないと吸えないようにする事で解

決できます。

 

②適切な離乳食

以前、本屋さんで離乳食の本を何冊か見たところ、歯の生え方で離乳食の形

態を変える事が書かれた本は非常に少なかった記憶がございます。

 乳児の歯の生え方は個人差が大きく、奥歯に関しては一年以上差があります。だからこそ歯の生え方で離乳食を決めてください。

また、時間がかかるからといってお子さんのお口の中にスプーンを入れて上の

前歯の裏側に押しつけながらスプーンを出していませんか?

これは、お子さんが自分から食べようとする行為を妨げるだけでなく、本来、

学ぶべき舌や唇の動きを学習させないことになります。そうすることで、乳幼児

嚥下から正常嚥下への切り替えが難しくなります。

当院では離乳食の時期や食事の仕方についてアドバイスしております。

 

③幼児期の食事

最近検診で多くみかけるのが過蓋咬合というかみ合わせです。

これは、上下かみ合わせたときに、上の前歯が下の前歯を見えないくらい覆い

かぶさる状態です。

この状態のまま成長委すると、下あごが小さくなり出っ歯気味の顔つきや歯並

びが全体的に狭くなるために、滑舌に異常が起きて発音が悪くなります。

原因の1つとして乳児期に前歯でかむ動作をしなった、幼児期に柔らかい食べ

物や小さく切った食べ物ばかりでしっかり前歯を使ってかみ切る動作をしない

で奥歯ばかりで食べていたことが考えられます。

その他に舌の筋肉が弱いため正常なパターンは上の顎に舌がくっつくのです

が、くっつかずに下に舌があるため上の顎が成長しないで過蓋咬合にもなりま

す。正常な嚥下だと1日に約2,000回、舌が上顎を刺激しています。それが低位

舌(乳幼児嚥下)だとないのです。そうなれば当然、上顎が刺激されないので

上あごは劣成長となり歯はきれいに並びません。

 

このように乳幼児期に食生活や癖は今後の歯並びに大きく影響しますのでこ

の時期を見逃さずにお子さんの唇の形やお口の形、食事の仕方を観察するの

が大事になります。

もし、お子さんのお口の形やポカンと口が開いている、歯並びが気になるなど

ございましたら早めの受診をお勧めします。

当院では適切な時期に適切なお話をして改善方法をご提案します。

ここで注意していただきたいのが、お口の癖や生活習慣は歯医者さんやお子さんが主体としてやるのではなく、保護者の方がお子さんと二人三脚で、もしくは保護者の方が主導にして、お家でしっかり取り組んでいただけないと効果が出ません。

もし、保護者の方が自分は子どもさんや歯医者さんに任せているから積極的に関わらないというお考えならば、当院の指導がうまくいかないのでご注意ください。

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