歯のコラム column
妊娠してから歯ぐきが腫れた?それって虫歯?ママと赤ちゃんを守るための口腔ケア
2026.04.09
健康についてこんにちは。仙台市若林区新寺の予防管理型歯科のほんま歯科の歯科衛生士Kです。
妊娠おめでとうございます!新しい命を授かった喜びとともに、体調の変化に戸惑うことも多い時期かもしれません。
「妊娠してから歯ぐきが腫れたり、歯磨きで出血しやすくなった」「もしかして虫歯ができた?」と不安を感じていませんか?実は、妊娠中はホルモンバランスや生活習慣の変化により、お口のトラブルが起きやすくなることが知られています。特に歯ぐきの腫れや出血は「妊娠性歯肉炎」という、妊婦さん特有のトラブルである可能性が高いです。今回は、妊娠中のお口のトラブルの原因と、ママと赤ちゃんを守るために大切なケアについてお話しします。
妊娠中にお口のトラブルが増える3つの主な原因
妊娠すると、なぜ虫歯や歯周病のリスクが高まるのでしょうか。その主な原因は以下の3つです。
1. 女性ホルモンの増加と歯周病菌の関係
妊娠中は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が著しく増加します。このホルモンは、特定の歯周病菌にとって格好の栄養源となることが分かっています。その結果、歯周病菌が活発になり増殖しやすくなるため、歯ぐきに炎症(歯肉炎)が起こり、腫れや出血といった症状が出やすくなります。これが「妊娠性歯肉炎」の主な原因です。この歯肉炎は、妊娠2〜3ヶ月頃からみられ、妊娠中期に顕著になる傾向がありますが、通常は出産後にホルモンバランスが落ち着くと快方に向かいます。
2. つわりによる口腔ケアの困難化
妊娠初期に起こりやすい**つわり(悪阻)**も、お口の健康を脅かす大きな原因です。
• 歯磨きができない・不十分に:歯ブラシを口に入れると吐き気がしてしまい、十分に歯磨きができない、回数が減ってしまう、という方は多いでしょう。これにより、お口の中に**プラーク(歯垢)**が溜まり、虫歯菌や歯周病菌が増殖しやすくなります。
• 酸性になる口腔環境:頻繁な嘔吐があると、胃酸が逆流し、お口の中が酸性に傾きます。これにより、歯のエナメル質が溶けやすくなる「酸蝕症(さんしょくしょう)」のリスクが高まり、虫歯になりやすくなります。
• 食事回数の増加:空腹時に吐き気を感じるため、間食や食事の回数が増えることもあります。食事のたびに口腔内は酸性になるため、だらだら食べを続けていると、歯が酸にさらされる時間が長くなり、虫歯のリスクをさらに高めます。
3. 唾液の変化と減少
妊娠中はホルモンの影響で唾液の分泌量が減少したり、粘り気が増す傾向があります。唾液には、お口の中の汚れを洗い流したり(自浄作用)、酸を中和したり(緩衝作用)、歯を再石灰化したりする重要な働きがあります。この自浄作用が低下することで、虫歯や歯周病の原因菌が増殖しやすい環境になってしまいます。
ママの歯周病が赤ちゃんに影響する!?
歯ぐきの腫れを「妊娠中だから仕方がない」と軽視してはいけません。歯周病が進行すると、早産や低体重児出産のリスクが高まることが報告されています。
これは、歯周病の炎症によって体内で産生される炎症性物質が、子宮の収縮を促したり、胎盤に影響を与えたりするためと考えられています。
また、ママに虫歯がある場合、出産後に食器の共有などを通じて赤ちゃんに虫歯菌を移してしまうリスクも高まります。
ご自身の健康だけでなく、生まれてくる大切な赤ちゃんのためにも、お口のケアは決して後回しにしないでください。
妊娠中にできるお口のケアと予防法
不安に感じるかもしれませんが、妊娠性歯肉炎は**プラークコントロール(歯垢の除去)**によって改善・予防が可能です。安定期に入って体調が良い時に、以下のポイントを参考にケアを始めましょう。
1. 優しく丁寧なブラッシングを徹底する
• 歯ブラシの選択:ヘッドが小さく、毛が柔らかいタイプの歯ブラシを選ぶと、歯ぐきへの負担を減らし、つわりによる嘔吐反射も起きにくくなります。子供用歯ブラシもおすすめです。
• 磨き方の工夫:歯ぐきが腫れている部分は特に、力を入れすぎず、小刻みにブラシを動かし、歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨きましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れもしっかり掻き出すことが大切です。
• 体調の良い時間帯を選ぶ:つわりが辛い時は、無理をせず、比較的体調の良い時間帯を見つけて磨きましょう。
• 嘔吐後の対処:もし嘔吐してしまったら、すぐに歯磨きをせず、水やノンアルコールの洗口液で軽くうがいをし、胃酸を洗い流しましょう。その後、時間をおいてから優しく磨くのが理想的です。
2. 食生活の注意点
• だらだら食べを避ける:間食は時間を決めて適度に摂り、食事回数を増やしすぎないようにしましょう。
• 糖分を控える:甘いものは虫歯菌の栄養源です。甘いものの摂りすぎには注意しましょう。
• 栄養バランス:歯や骨の健康に必要なカルシウムや、歯ぐきの健康維持に役立つビタミンCなどを意識して摂取しましょう。
3. 乾燥対策と歯科医院の受診
• こまめな水分補給:唾液の減少による口内の乾燥を防ぐため、水や無糖のお茶をこまめに飲みましょう。
• 妊婦歯科健診の活用:自治体で実施されている妊婦歯科健診を必ず受診しましょう。歯ぐきの腫れや虫歯の有無をチェックし、適切な処置や歯磨き指導を受けることが重要です。安定期(妊娠中期:16~27週)は、多くの歯科治療が安全に行える時期とされています。
まとめ:不安を抱えずにご相談ください
妊娠中の歯ぐきの腫れや出血は、多くの場合「妊娠性歯肉炎」という、ホルモンバランスの変化に起因する歯周病の初期症状です。これは、適切なセルフケアと歯科医院での**クリーニング(プラーク・歯石除去)**で改善が期待できます。
ほんま歯科では、体調を最優先にした安全な診療を心がけております。つわりなどで体調が優れない方、治療に不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。
「妊娠中だから...」と我慢せず、今お口を整えることが、ママの健康と生まれてくる赤ちゃんの未来を守ることにつながります。ご来院を心よりお待ちしております。
【歯科衛生士監修】