歯のコラム column

銀歯は虫歯のリスクになるためできるだけやめた方がいい理由

2025.04.06

むし歯

仙台市若林区新寺の予防管理型歯科医院歯科衛生士のAです。

歯の治療において、銀歯(メタルインレーやメタルクラウン)は広く使用されてきました。しかし、近年では銀歯が虫歯のリスクを高める可能性があることが指摘されており、できるだけ避けた方がよいという考えが広まっています。なぜ銀歯が問題なのか、その理由について詳しく解説していきます。

銀歯は虫歯のリスクになるためできるだけやめた方がいい理由

1. 銀歯の劣化と二次虫歯のリスク

銀歯は金属でできているため、時間が経つにつれて劣化します。特に、口の中は常に湿気があり、食事のたびに温度変化があるため、金属の膨張・収縮が繰り返されます。この結果、銀歯と歯の間にわずかな隙間が生じることがあり、そこに細菌が侵入することで二次虫歯(詰め物や被せ物の下で発生する虫歯)ができるリスクが高まります。

また、銀歯はセメントで接着されていますが、セメント自体も時間とともに劣化し、溶けていきます。セメントが溶けると銀歯の内部に隙間ができ、そこから虫歯菌が侵入しやすくなるのです。こうした二次虫歯は、外からは見えにくく、痛みが出る頃にはかなり進行していることも少なくありません。

 

銀歯は虫歯のリスクになるためできるだけやめた方がいい理由

2. 銀歯の適合性の問題

銀歯は歯科技工士が作製し、歯科医師が装着します。しかし、どんなに精密に作られても、銀歯と歯の間には必ずわずかな段差や隙間が生じます。特に、保険診療で作られる銀歯は、使用できる材料や工程に制限があり、高精度なものを作るのが難しいのが現実です。

この隙間にプラーク(歯垢)が溜まりやすく、適切なブラッシングをしても完全に取り除くのが難しくなります。その結果、虫歯のリスクが高まり、銀歯の下で知らぬ間に虫歯が進行することがあります。

3. 電位差による影響

銀歯は金属であるため、口の中に他の金属(例えば、異なる種類の銀歯や金属の詰め物)があると電位差が生じることがあります。これにより、金属が腐食しやすくなり、銀歯が劣化するスピードが速くなることが考えられます。また、金属が溶け出すことで口腔内の環境が悪化し、虫歯菌の活動が活発になる可能性も指摘されています。

 

銀歯は虫歯のリスクになるためできるだけやめた方がいい理由

4. 銀歯の硬さが歯に与えるダメージ

銀歯は天然の歯よりも硬いため、噛み合わせることで相手の歯を傷つけたり、摩耗させたりすることがあります。また、強い力がかかると歯にひびが入ることもあり、そこから虫歯が発生するリスクが高まります。特に、奥歯に銀歯を入れると、上下の歯が不自然な力で接触し、歯の寿命を縮める原因になることがあります。

5. 銀歯以外の選択肢

近年では、銀歯のデメリットを回避するために、セラミックやコンポジットレジン(樹脂)などの代替材料が多く使われるようになっています。

· セラミック: 天然歯に近い見た目を持ち、適合性が高いため、虫歯のリスクを抑えることができます。また、金属を含まないため、アレルギーの心配もなく、劣化しにくいのが特徴です。

· ハイブリッドセラミック: セラミックと樹脂を混ぜた素材で、適度な柔軟性があり、銀歯よりも歯に優しいです。

· コンポジットレジン: 小さな虫歯であれば、直接歯に詰めることで治療ができ、歯を削る量を最小限に抑えられます。ただし、大きな修復には向かない場合もあります。

これらの材料は銀歯に比べてコストが高くなることが多いですが、長期的に見れば虫歯のリスクが減り、再治療の回数が減るため、結果的に歯の健康を保ちやすくなります。

銀歯は虫歯のリスクになるためできるだけやめた方がいい理由

6. まとめ

銀歯は従来の治療法として一般的に使われてきましたが、二次虫歯のリスクや適合性の問題、劣化による影響など、多くのデメリットがあることがわかっています。特に、歯と銀歯の間にできる隙間により虫歯が進行しやすく、気づいたときには大きなダメージを受けていることも少なくありません。

現在では、セラミックやハイブリッドセラミックなどの選択肢も増えており、銀歯に頼らなくても治療を受けられる環境が整っています。できるだけ自分の歯を長く健康に保つためにも、銀歯を避け、より歯に優しい治療法を選択することが重要です。

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