歯のコラム column
災害時のオーラルケアの重要性
2024.12.14
豆知識こんにちは。仙台市若林区新寺の予防管理型歯科医院の「ほんま歯科」の歯科衛生士のでwです。
今回は、災害時におけるオーラルケアの重要性についてお話しします。災害が発生した場合、私たちの体の健康だけでなく、口腔ケアも非常に大切になります。その理由について、歯科衛生士の視点でご紹介します。
災害時には、断水や水不足などで普段の歯磨きができなくなることが多いです。限られた水資源を無駄にしないために、飲料水が最優先され、歯磨きが後回しにされることもあります。これが続くと、口腔内で細菌が増殖し、健康にさまざまな影響を与えかねません。
災害関連死の実態
多くの方が避難所に避難するものの、避難生活中に命を落としてしまうことがあるのをご存じでしょうか。これを「災害関連死」と呼びます。
例えば、東日本大震災では災害関連死が全体の18%(3,523人)、熊本地震では78%(189人)を占めました。これらは十分な備えをしていれば減らすことができるのです。
□オーラルケアができないことによるリスク
災害時には、避難生活に伴う栄養不足や睡眠不足、ストレスなどが影響し、口腔の機能が低下します。これにより、虫歯や歯周病、さらに全身的に肺炎や風邪などの感染症にかかるリスクが高まります。
特に、高齢者は嚥下機能が低下しやすく、口腔ケアを怠ると、誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)のリスクが増大します。歯周病を患っている方は、災害時にそのリスクがさらに高くなると言われています。
□災害時における口腔ケアのポイント
災害時の水不足を考慮し、できるだけ水を使わずに口腔ケアを行うことが重要です。
歯磨き粉は口に残ると乾燥を引き起こすことがあるため、うがいが十分にできない場合は、歯磨き粉を使用しない方が良いでしょう。
また、口をすすぐ際には、少量の水を何度かに分けて口に含み、汚れをしっかりと吐き出すことが効果的です。唾液には自浄作用があるため、歯ブラシがない場合は唾液腺マッサージを行い、唾液を増やすことが口腔ケアに役立ちます。
さらに、濡らしたガーゼやタオル、ウェットティッシュなどで歯を拭くことでも、歯垢を取り除くことができます。デンタルリンスや洗口液は、水だけでうがいをするよりも歯垢除去に効果的なので、これらを非常持ち出し袋に準備しておくと安心です。
□防災グッズの見直し
近年、大きな地震が多く発生しているため、非常時に備えて防災グッズを見直すことが重要です。
防災グッズをチェックした際、オーラルケアに必要なアイテムは入っていますか?歯ブラシやデンタルリンス、ガーゼなどを防災袋に追加することで、もしもの時にも健康を保てるよう準備しておくことが大切です。
災害時には、心身ともに疲れやストレスが増しますが、口腔ケアをしっかり行うことで、健康を守る一助となります。自分自身の健康管理のために、今からしっかり準備しておきましょう。