歯のコラム column
歯の治療と金属の関係について
2024.12.02
豆知識こんにちは。仙台市若林区新寺の「ほんま歯科」院長の本間です。今日は、歯の治療に用いる金属とそれにかかわる金属アレルギーについてお話しします。
皆さんは、歯の治療のために金属が使われていることはご存じでしょうか?
そう、お口の中にある銀色や金色、時には黒っぽく変色した金属です。
私たち歯科医師は、歯のかぶせものや詰め物、入れ歯のバネなどに様々な種類の金属を用いて治療しています。これらの金属には、金や銀のほかにも、パラジウム、銅、ニッケル、白金、イリジウム、コバルト、クロム、チタンなどの金属が合金として混ぜ合わせて安定した金属になるようにしています。
ちなみにアレルギ-の中の1つである「金属アレルギー」は、これらの金属が原因で、体の様々な反応として起きることがあります。金属アレルギーは、体が金属を異物だと判断し、それを排除しようとする反応です。その結果、かゆみや炎症などの症状が現れることがあります。特に体の出口になる手や足の汗腺が多いところに多く起きるともいわれています。それでは金属アレルギーのことについて書いていきましょう。
【金属アレルギーの症状】
金属アレルギーになると、体や口の中にさまざまな症状が出ることがあります。代表的なものをご紹介します。
1:体に現れる症状
· 手足の皮がむける
· 皮膚が赤くなる
· かゆみが出る
· 湿疹やじんましんが現れる
2:口の中に現れる症状
· 頬の内側や歯ぐきに赤い炎症が起きる
· 舌がピリピリしたり、しびれるように感じる
· 食べ物や飲み物の味が変に感じる
これらの症状は、歯の治療後すぐに出る場合もあれば、何年も経ってから現れることもあります。そのため、原因が歯の金属だと気づきにくいことがあります。
【金属アレルギーの原因を調べるには?】
金属アレルギーかもしれないと思ったら、皮膚科で検査を受けることができます。よく行われるのがパッチテストという方法です。金属の成分を少し肌に貼り付けて、どの金属に反応するかを確認します。このテストでアレルギーの原因となる金属を特定できます。
パッチテストに対応していない皮膚科もありますので事前に確認してから受診されることをお勧めします。
【症状が気になるときはどこへ行けばいいの?】
1.皮膚や全身に症状がある場合 → 皮膚科、アレルギー科や内科
2.金属アレルギーの結果が出て、お口の中に金属を使用していて、 歯に使われた金属を交換したい場合
→ 歯科医院
【金属アレルギーの対処方法】
金属アレルギーと診断された場合、以下のような対策が取れます
1. 身の回りの金属を避ける
アレルギーの原因となる金属を含むアクセサリーや時計、ベルトのバックルなどを身につけないようにしましょう。
2. 食べ物に注意する
特定の金属を含む食品を控える必要がある場合もあります。人によって少量でも反応が出る人もいますので、詳しくは医師や栄養士に相談するとよいでしょう。
金属を含む食べ物の例としては
① ニッケル
ニッケルは金属アレルギーの中でよく問題になる金属です。次のような食べ物に含まれることがあります:
· ナッツ類:カシューナッツ、アーモンド、クルミなど
· 種子類:ひまわりの種、かぼちゃの種
· 穀物:オート麦、そば、小麦胚芽
· 豆類:大豆、レンズ豆、ひよこ豆
· 野菜:ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー
· 魚介類:イワシ、ニシン、カキ
· 飲み物:ココア、紅茶
②コバルト
コバルトもアレルギーを起こしやすい金属の一つです。これを含む食べ物には:
· 貝類:ムール貝、ホタテ貝
· 魚類:イワシ、サバ
· 肉類:レバー(特に牛や豚)
· チョコレート:カカオに含まれる場合があります
③クロム
クロムが含まれる食品は比較的少ないですが、以下の食品が含まれることがあります:
· 全粒穀物:玄米、小麦胚芽
· 野菜:ブロッコリー、マッシュルーム
· 魚介類:魚卵や貝類
④亜鉛:牡蠣、肉類、全粒穀物
3.歯の金属を交換する
歯に詰めた金属を、アレルギーを起こさない素材
(レジン、ハイブリットセラミック、セラミックやジルコニアなど)に変えることができます。
4. 薬で症状を抑える
かゆみや炎症がある場合、皮膚科で処方された薬を使うことで症状を軽くすることができます。
また、日常生活で身近な金属を避けることも重要です。アクセサリーだけでなく、歯の治療に使われた金属も見直してみましょう。
金属アレルギーは症状が多様で、原因を見つけるのが難しいことがありますが、適切な対策を取れば症状を和らげることができます。気になる症状がある方は、ぜひ一度当院にご相談ください。