歯のコラム column
心臓病は歯周病で引き起こされる?
2024.10.26
歯周病こんにちは。仙台市若林区新寺の予防管理型歯科医院のほんま歯科です。みなさんは歯周病にかかると歯が抜けてしまったり、歯茎が下がってくる以外にも歯周病のデメリットがあることをご存じですか?
実は、歯周病はお口の中だけではなく全身の病気ともかかわりがあるのです。歯周病と全身の病気の関係について、最近の研究ではそのつながりが注目されています。歯周病は口腔内の細菌感染によって引き起こされる炎症性の疾患であり、これが全身の病気と関連しているという指摘がされています。
歯周病の炎症性状態が慢性化すると、Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)歯周病の進行において主要な役割を果たすとされる細菌が歯周ポケット内で増殖し、炎症や歯周組織の破壊を引き起こす可能性があります。これらの炎症物質が体内に流れ込み、血液を通じて全身に影響を及ぼすことが考えられます。具体的には、以下のような全身の病気との関連が報告されています。
1. 心臓病
歯周病と心臓病の関連が研究され、歯周病が心臓病のリスク因子となる可能性が示唆されています。歯周病の原因となる細菌が全身の血管に行き渡ってしまうと動脈硬化の原因になります。そのまま血管が詰まってしまうと心臓に影響を与え、心筋梗塞などの病気を引き起こす可能性が15~24%ほど上昇すると言われています。また、脳の血管に歯周病菌が行き渡り、血管が詰まってしまうと脳梗塞のリスクも高くなってしまうと言われています。
2. 糖尿病
歯周病と糖尿病の関連も研究されており、歯周病が糖尿病の発症や進行を悪化させる可能性が指摘されています。炎症反応やインスリン抵抗性の増加が関与していると考えられています。最近の研究では、歯周病の治療をしっかり行うことで糖尿病罹患患者の血糖値が下がるという研究結果が出ています。
3. 他の炎症性疾患
歯周病は炎症性疾患であるため、関節リウマチや炎症性腸疾患など他の炎症性疾患とも関連があるとされています。口腔内の状態が全身の炎症反応に影響を与える可能性が考えられています。歯周病の原因となる細菌であるPg菌(Porphyromonas gingivalis )(ポルフィロモナス・ジンジバリス)、体内に本来存在するアルギニンという蛋白質を、シトルリンという物質に変化させることが知られています。このプロセスが、歯周病の炎症反応や病気の進行に関与している可能性が指摘されています。
以上のように、歯周病と全身の病気との関連は多岐にわたり、口腔内の健康が全身の健康にも影響を与えることが示唆されています。定期的な歯科検診や適切な歯磨き、口腔ケアを行うことで、全身の健康を維持するためにも重要です。