歯のコラム column
自分に合った歯磨き粉を見つけてみよう
2024.04.08
物販のご紹介こんにちは。仙台市若林区新寺にあるほんま歯科の歯科衛生士Wです。
患者さんに磨き方の説明をする際に歯ブラシの当て方や歯間ブラシ、糸ようじなどいろんな道具の使い方を説明したり患者さんからも質問されたりしますが意外と見落としがちなのが歯磨き粉なのですね。
皆さんは普段一体どんなものをお使いですか?今回は予防したい症状に分けて主な薬効成分を説明します。
虫歯予防
虫歯とは口の中の細菌が糖をエサにし、酸を吐き出し歯が溶かされて、歯質がもろくなった状態です。進行すると溶かされた範囲が広がり大きな穴があきます。
→フッ素
エナメル質の修復促進、歯質強化、菌の働きを弱める。
フッ素は口腔内のフッ素濃度を高く・長く保持するほど、効果的なう蝕予防を期待できます。選択するときは歯磨き粉の形態(クリーム状、液体、ジェル状など)やフッ素濃度にも注目してみましょう。
歯周病予防
細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
→酢酸トコフェロール(ビタミンE)
歯肉を強くする成分です。
→トラネキサム酸
歯肉の炎症、出血を抑制します。
→β-グリチルレチン酸
歯肉の炎症を抑制します。
→イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
バイオフィルム(細菌の塊)の内部まで浸透・殺菌します。
→PEG
IPMPの浸透を促進させる。
→CPC(塩化セチルピリジニウム)
歯磨き粉だけでなく洗口液やトローチなどにも広く使用されており、口腔内の浮遊細菌に対して殺菌作用をもっています。
知覚過敏
歯ブラシの毛先が触れたり、冷たい飲食物、甘いもの、風にあたった時などに歯に感じる一過性の痛みで、特にむし歯や歯の神経(歯髄)の炎症などの病変がない場合にみられます。知覚過敏は歯の最表層にあるエナメル質では感じることはありません。そのエナメル質の下にある象牙質がもつ象牙細管と呼ばれる無数の小さな管状の構造物が内部の神経にまで刺激を伝えることで症状が起こります。
→硝酸カリウム
歯の神経へ刺激の伝わる象牙細管の伝達を鈍くさせることで痛みを和らげます
→乳酸アルミニウム
歯の神経へ刺激の伝わる象牙細管の入り口をふさぐことで痛みを和らげます
ステイン(着色)
コーヒーや紅茶を摂取したり、喫煙することでポリフェノールやニコチンなどの色素
がエナメル質表面に蓄積した状態です。ステインがなぜついてしまうのかというとステイン(マイナスイオン)とエナメル質表面のカルシウムイオン(プラスイオン)がイオン結合で結びつきやすいためです。
→ピロリン酸とポリリン酸
ピロリン酸イオン(マイナスイオン)とポリリン酸イオン(マイナスイオン)は、ステイン(マイナスイオン)よりもエナメル質表面のカルシウムイオンCa(プラスイオン)との親和性が高いため、ステインと歯の間に浸透し結合することで、ステインを浮き上がらせます。
.なんだか言葉が難しいですね。簡単に言うとピロリン酸とポリリン酸はステインよりもカルシウムイオンにくっつきやすいため、ステインを浮かせて落とす作用が働きます。着色を落とす歯磨き粉と言うと研磨剤が入っていて歯の表面を傷つけてしまうイメージを持っている方もいますが今は化学的に汚れを落とすので歯を傷つけずに済むのですね。またこちらの作用は歯のホワイトニング(歯の中から白くする)とは異なり、着色を落とすことで本来の歯の色に戻す作用になります。
それぞれの予防したい症状に対して効果がある主な薬効成分を挙げてお話しましたがいかがでしたか?歯磨き粉を使うだけで症状が完治するわけではありませんが、お悩みの症状の改善や予防には効果があります。また、歯磨き粉は使用を継続することで効果が現れます。気長に使っていきましょう。ぜひ選択するときの参考にしてご自身のお口にあった歯磨き粉を探してみてください。