歯のコラム column

歯科と持病やお薬の話~後編~

2023.09.19

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歯科と持病やお薬の話~後編~

こんにちは。

仙台市若林区新寺のほんま歯科です。

前回から続いている歯科と持病やお薬の関係について、後編です。

前編ブログはこちら

④糖尿病の薬と歯科の関係

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【糖尿病の薬の役割】

血糖を降下させる作用があります。糖尿病のお薬には、インスリン注射と飲み薬があります。インスリンが先天的につくられない1型糖尿病の患者さんは、身体の外部からインスリンを補強する必要があります。そのため、注射にてインスリンを補強します。2型糖尿病の患者さんは、生活習慣が原因になるため、主に食事制限や運動が治療の第一選択ですが、それでも改善が難しい場合は、飲み薬や注射を使用します。

【糖尿病を把握する必要】

糖尿病は、血流が悪くなり、栄養や免疫細胞が届きにくくなるため、感染への抵抗力が弱まり、傷の治りが悪くなります。そのため、細菌感染が起こりやすく、炎症が長引いたりひどくなることが予測されます。また、糖尿病の患者さんは血糖値の乱高下も起こりやすいため、「低血糖性昏睡」と言って意識を失ってしまう危険な状態に陥りやすいです。

【骨粗鬆症の既往がある患者さんへの対応】

糖尿病は、歯周病をはじめとする様々な病気と合併しやすいこともあり、医科の主治医と連絡を取りつつ治療を進めることが多いです。身体の状態が良くないのであれば、医科と連携し、先に血糖のコントロールをしてから歯科の治療を進めることがあるため、歯科の治療が進むまで時間を要することがあります。また、「低血糖性昏睡」を防ぐために、食事しっかりとってから歯医者さんにきて頂いたり、アポイントを食後の時間に取ってもらうことがあります。

⑤自己免疫疾患の薬と歯科の関係

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【自己免疫疾患の薬の役割】

自己免疫疾患の薬には、ステロイド剤の服薬が多いです。ステロイドとは、腎臓の上端にある副腎と言われる臓器でつくられる副腎皮質ホルモンの一種です。身体の中の炎症を抑えたり、免疫反応を抑える作用があります。このホルモンがもつ作用を薬として応用したものがステロイド剤です。身体の炎症や免疫反応を抑えるのに体内でつくられるステロイドだけでは足りない時に使用されます。塗り薬、飲み薬、注射薬など種類があります。

【自己免疫疾患を把握する必要】

ステロイド剤を長期にわたって服薬されている方は、炎症や免疫反応が起こりにくくなるため、細菌感染が起こりやすくなります。そのため、抜歯やインプラントなどの外科手術後の傷が治りにくく、膿んだり腫れやすかったりします。また、歯科治療に限らず、医療行為は身体にストレスを与えます。副腎皮質ホルモンは、そうしたストレスを身体に与える影響を軽減する作用があります。ステロイド剤の長期服用は副腎皮質ホルモンの分泌を抑えますので、その結果、歯科治療後に、発熱や嘔吐感、筋肉の痛み、血圧の低下といった体調の悪化が起こることがあります。これらの症状は、「副腎クリーゼ」と呼ばれます。ステロイド剤は、気管支喘息や悪性リンパ腫、ネフローゼ症候群などを発症している患者さんがステロイド剤を服薬していることが多いです。

【自己免疫疾患の既往がある患者さんへの対応】

外科治療を受けるときは、抗菌薬を通常より多めに飲んでいただいたり、前もって飲んでいただくことがあります。また、ストレスによる治療後の体調不良を防ぐために、通常より多くステロイド剤を服薬いただく「ステロイドカバー」が必要になることがあります。ステロイドカバーについては、医科の主治医と相談する必要があります。以上が、歯科と服薬の関係です。

歯科と持病やお薬の話~後編~

ここまでお読みいただいたように、持病とお薬は歯科治療との関係が深いです。滅多に無いケースといえ、命に関わることもありますので、歯科受診の際には必ずお薬や持病のことをお伝えください。

何種類も飲んでいたり、いつから服薬しているか忘れてしまった方は、お薬手帳を出して頂ければ問題ございません。コピーを取らせていただき、カルテ内で保管させて頂きます。安全な治療を提供するために、お薬や持病に関してスタッフへお伝えください。

【参考文書】nico 2022 6月号

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