歯のコラム column
1本の歯が、全身を守る~歯を抜く前にできること~
2025.11.01
健康についてこんにちは。仙台市若林区新寺にある、予防管理型歯科医院「ほんま歯科」の歯科衛生士、Yです。
「この歯、もう抜いたほうがいいかな…」そんなふうに思ったことはありませんか?
虫歯がひどく進行していたり、歯周病でグラグラしていたりすると、「もう残せないかも…」と不安になる方も多いのではないでしょうか。確かに、どうしても抜かなければならない場合もあります。
しかし実は、「抜くしかない」と思われた歯でも、適切な治療を受けることで、残せるケースが意外と多くあるのです。そして、たった1本の歯が、私たちの全身の健康を支えていることをご存知でしょうか?
歯は「噛む」ためだけのものではない
歯の役割というと、「食べ物を噛むため」と考える方が多いと思います。
もちろん、それはとても重要な機能ですが、それだけではありません。
近年の研究によって、歯の本数と全身の健康との関係が明らかになってきています。
例えば――
· 歯が多く残っている人ほど、認知症のリスクが低い
· 歯がしっかり噛める人は、転倒しにくい
· 歯が残っている人は、長生きしやすい
といった報告があります。なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
それは、噛むことが全身にさまざまな良い刺激を与えているからです。
「噛む」ことがもたらす全身への影響
しっかり噛むことは、以下のようなメリットにつながります:
· 脳への刺激:噛むことで脳が活性化し、認知機能の低下を防ぎます。
· 消化の助け:よく噛むことで消化酵素が分泌され、胃腸の負担を軽くします。
· 栄養バランスの維持:噛む力があると、さまざまな食材が食べられるため、偏食を防げます。
· 口腔筋の維持:噛むことで、口まわりの筋肉や舌の機能が保たれ、誤嚥(ごえん)やむせの予防にも。
反対に、歯を失って噛む力が弱まると…
· 柔らかい物ばかりを食べるようになり、栄養が偏る
· 噛む刺激が減り、脳や筋肉の働きが低下
· 飲み込みづらくなり、食事が苦痛に感じる
· 食べる量が減り、体力・筋力が落ちていく
といった悪循環に陥ってしまうこともあります。つまり、たった1本の歯でも、失えば体全体の健康に影響が出る可能性があるということです。
抜く前にできること:歯を守る治療の選択肢
「この歯はもう使えないかも…」と思っても、あきらめるのは早いかもしれません。
現在では、歯を残すための治療法が数多く存在します。
◆ 根管治療(こんかんちりょう)
虫歯が神経まで達してしまった場合、歯の根の中をきれいに掃除し、薬を詰めて保存する治療です。
歯の中の神経や細菌を除去することで、見た目には残せないと思った歯でも再び使える状態にできることがあります。
◆ 歯周再生療法
歯周病で骨が溶けてしまった場合でも、最近では骨や歯ぐきを再生する治療が可能になっています。
特殊な薬剤や再生用の膜を使い、グラグラだった歯がしっかり噛めるようになるケースも。
これらの治療には適応条件があり、すべての歯に使えるわけではありませんが、「抜歯しかない」と判断される前に、他の可能性を探ってみる価値は十分にあるのです。
セカンドオピニオンという選択肢も
もし、かかりつけの歯科医院で「この歯は抜くしかありません」と言われた場合でも、別の歯科医院で相談してみる=セカンドオピニオンを受けるのも一つの方法です。
歯科医師の考え方や治療方針はさまざまです。
患者さんの「歯を残したい」という気持ちに寄り添ってくれる歯科医院を探すことが、後悔のない選択につながります。
ほんま歯科の取り組み
ほんま歯科では、「できる限り歯を残す」という考えを大切にしています。
患者さんとしっかり話し合い、治療の選択肢を丁寧にご説明しながら、一緒に最適な方法を考えていきます。
無理に歯を残すのではなく、治療の可能性を見極めたうえで、本当にその歯を抜く必要があるのかを慎重に判断します。
仙台の地で、「自分の歯でおいしく食べられる人生」を少しでも長くサポートできるよう、日々診療にあたっています。
当院は複数の歯科衛生士が在籍しております。歯科衛生士は歯科医院内で歯石を除去するだけでなくお口の健康を患者さんとともに目指すトレーナー、コーチでもあります。お口の病気は生活習慣病ですので、どうしても自分1人では後戻りしてしまうリバウンドが多くの方に見られます。ぜひ当院の歯科衛生士に頼ってください!
抜く前に、できることがある
「もうこの歯はだめかな」と思ったときこそ、一度立ち止まって考えてみてください。
本当にその歯は抜かなければならないのか?
残せる可能性があるのではないか?
たった1本の歯が、あなたの将来の健康を左右することだってあるのです。
歯は、かけがえのない体の一部です。
もし今、抜歯を勧められて悩んでいる方がいれば、ぜひ一度ご相談ください。
その1本の歯が、あなたの未来を守ってくれるかもしれません。
【歯科衛生士監修】