歯のコラム column
「痛くないのにむし歯?」と言われたあなたへ—自覚症状がない初期むし歯は治療すべき?
2026.02.23
むし歯こんにちは。仙台市若林区新寺の予防管理型歯科ほんま歯科の歯科衛生士Kです。
歯科検診で「むし歯がありますよ」と伝えられたとき、多くの方が驚くことの一つが**「全く痛くないのに、どうしてむし歯なの?」**という疑問ではないでしょうか。 自覚症状がないのに歯を削ることに抵抗を感じ、「本当に治療が必要なの?」と不安になる方は少なくありません。
しかし、その**「痛みのなさ」こそが、皆さんの歯を守るための最高のチャンス**なのです。
今回は、**「痛くないむし歯」**の正体と、なぜ初期段階での治療や経過観察が重要なのかを、専門的な視点から詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
1. むし歯の「痛み」は最終段階の危険信号
まず、むし歯が**「痛み」**を感じるメカニズムについて知っておきましょう。歯は、外側から以下の3つの層で構成されています。
(1)エナメル質:人体で最も硬い、歯の一番外側の層。痛覚はありません。
(2) 象牙質:エナメル質の内側にある層。神経へとつながる象牙細管が通っています。
(3) 歯髄(しずい):歯の中心部にある、神経や血管が通っている組織。
ステージC1まで:痛みを全く感じない初期むし歯 むし歯が最も外側のエナメル質に留まっている段階(専門的には「C1」や、さらに浅い「C0/要観察歯」と呼ばれます)では、歯の神経(歯髄)から遠く、またエナメル質自体に神経がないため、自覚症状は一切ありません。 この段階のむし歯を、私たちはレントゲン写真や目視での精密な観察によって見つけ出します。そして、「痛くないむし歯」の段階で発見し、進行を食い止めることが、皆さんの歯を長く残す上で最も理想的だと考えています。 ステージC2以降:急に症状が出現する理由 むし歯がエナメル質を突き破り、その内側の象牙質に達すると(「C2」)、急に状況が変わります。象牙質に到達したむし歯菌の酸は、象牙細管を通じて刺激を神経に伝え始めます。その結果、冷たいものや甘いものがしみたり、噛んだ時に違和感が出たりと、「痛み」という自覚症状が現れ始めます。 つまり、「痛みがある」という状態は、むし歯が既に歯の深部にまで進行しているという、体からの危険信号なのです。
2. 痛くないむし歯を「放置」するリスク
「まだ痛くないから大丈夫」と放置してしまうと、むし歯は猛スピードで進行することがあります。特に歯の表面のエナメル質が薄い部分や、歯と歯の間など、細菌が溜まりやすい場所では進行が速い傾向があります。
• 放置し続けると… 痛みが出始め(C2)、さらに進行すると神経に達し(C3)、激しい痛みを伴うようになります。夜も眠れないほどの痛みになることも少なくありません。
• 神経に達した場合(C3):むし歯が神経にまで到達してしまうと、治療は歯を削るだけでなく、神経を取り除く**「根管治療」**が必要になります。根管治療は、一般的に治療期間が長くかかり、治療回数も増え、患者様の身体的・経済的負担も大きくなります。
• 神経を失った歯のリスク:さらに重要なこととして、一度神経を失った歯は、水分や栄養が行き届かなくなるため、健康な歯に比べて脆くなり、将来的に歯が割れたり(歯根破折)、抜歯に至るリスクが格段に高くなってしまいます。
3. 「痛くないむし歯」に対する当院の方針
歯科医が「痛くないむし歯」を指摘した場合、そのむし歯は主に以下の2つのパターンに分けられ、それぞれで推奨される対処法が異なります。
状態と推奨される対処法
A. 初期むし歯(C0 / 要観察歯) エナメル質の表面が少し溶けた状態。進行が止まっている、または非常に遅い場合。歯の表面が粗くなっているだけの段階です。 経過観察+予防強化: 削る治療は原則行いません。フッ素塗布や毎日の徹底的な歯みがき指導、食事指導で再石灰化を促し、歯自身が持つ修復能力で治るのを待ちます。
B. 進行中のむし歯(C1初期〜C2手前) エナメル質に穴が開き、象牙質に向けて進行している状態。見た目には小さな黒い点でも、中にむし歯が広がっている可能性があります。
早期治療: むし歯の部分だけを最小限(M.I.:Minimal Intervention)で削り、**詰め物(コンポジットレジン)**で修復します。治療時間も短く、健康な歯を最大限残すことができます。 治療の判断は「プロ」にお任せください 重要なのは、「痛くないから」と自己判断で放置せず、歯科医師の精密な診断を仰ぐことです。
当院では、単に「むし歯だから削る」のではなく、レントゲン写真、唾液検査、そしてお口の中の環境を総合的に評価し、「削る治療」が本当に必要か、それとも**「予防で食い止められるか」**を丁寧に判断し、患者様へ現状をお伝えしていたします。 治療については歯科医師の治療計画をもとに、患者さま自身トリートメントコーディネーターと計画していきましょう。 ご自身の歯を長く健康に保つためにも、ぜひ自覚症状がない初期の段階で、適切な診断と処置を選択してください。ご不安な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
【歯科衛生士監修」