歯のコラム column

日本と世界の「銀」を巡る歯科事情 銀歯、本当に大丈夫?

2025.10.05

むし歯

こんにちは。仙台市若林区新寺の予防管理型歯科、ほんま歯科です。

皆さんは、お口の中に「銀歯」が入っていますか? 鏡を見るたびにキラリと光る銀歯は、日本の歯科治療においてはごく一般的な存在です。しかし近年、「銀歯は良くない」という声を聞くことも増えてきました。一体なぜ、長年使われてきた銀歯が問題視されているのでしょうか。今回は、日本の銀歯の歴史をひも解きながら、海外の歯科事情と比較し、本当に安心できる治療とは何かを考えてみたいと思います。

日本と世界の「銀」を巡る歯科事情    銀歯、本当に大丈夫?

日本の歯科治療と「銀」の深い関係

日本において、保険診療で虫歯治療を行う際の選択肢として、長らく「金銀パラジウム合金」通称「銀歯」が主流でした。この銀歯が日本の歯科医療に深く浸透した背景には、いくつかの理由があります。

遡ること明治時代、日本に西洋医学が導入され、歯科医療も近代化の道を歩み始めました。当初は高価な金が使用されていましたが、戦後の復興期、より安価で加工しやすい金属が求められるようになりました。そこで注目されたのが、安価で加工性に優れたパラジウムと、金を補助する銀を組み合わせた合金でした。

1960年代には、金銀パラジウム合金が保険適用となり、国民皆保険制度が確立されたことで、全国民が比較的安価で歯科治療を受けられるようになりました。これにより、銀歯は急速に普及し、日本の歯科治療のスタンダードとして定着したのです。

銀歯が抱える「光と影」

銀歯が日本の歯科医療を支えてきたことは間違いありません。しかし、その一方で、以下のような問題点も指摘されています。

* 見た目の問題: 銀歯は、口を開けた際に目立ちやすく、審美性を損なうという声が多く聞かれます。

* 金属アレルギーのリスク: 銀歯に含まれるパラジウムや銀、銅などの金属が溶け出し、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。口内炎や湿疹、アトピー性皮膚炎などの症状が出ることもあります。

* 歯への負担: 銀歯は保険適用外のセラミックなどと比べて硬度が高く、噛み合う天然歯を傷つけたり、破折させてしまうリスクがあります。また、歯との適合性が完璧でない場合、わずかな隙間から虫歯が再発(二次カリエス)するリスクも高まります。

* ガルバニック電流: 異なる種類の金属が口内で触れ合うことで、微弱な電流(ガルバニック電流)が発生し、不快感や味覚障害を引き起こすことがあります。

海外に目を向けると…「銀」の使用は少数派?

それでは、海外の歯科治療ではどうでしょうか。実は、欧米諸国では、日本ほど銀歯が一般的に使用されていません。

例えば、北欧諸国やドイツなどでは、環境問題や生体への影響を考慮し、すでにアマルガム(水銀を含む歯科材料)の使用が規制・禁止されています。また、銀歯(金銀パラジウム合金)についても、アレルギーのリスクや審美性の観点から、積極的に推奨されていないのが現状です。

欧米では、セラミックやコンポジットレジン(白いプラスチックのような材料)といった、審美性にも優れ、生体親和性の高い材料が主流となっています。これらは保険適用外となるため、費用は高くなりますが、患者さんの健康や見た目への意識が高く、白い詰め物・被せ物を選ぶことが一般的です。

これからの歯科治療、私たちは何を選ぶべきか?

日本の歯科医療は、国民皆保険制度のおかげで、誰もが質の高い医療を享受できるという素晴らしい側面を持っています。しかし、その一方で、海外との差も生まれています。

もし現在、お口の中に銀歯があり、見た目や健康面で不安を感じているのであれば、一度ほんま歯科に相談してみませんか?最近では、保険適用内で白い詰め物・被せ物ができるケースも増えてきていますし、費用はかかりますが、セラミックなどのより体に優しい材料を選ぶことも可能です。

ご自身の健康を守るためにも、治療の選択肢についてしっかりと情報を得て、納得のいく治療を選ぶことが大切です。銀歯の選択は、過去の当たり前ではなく、未来の健康を左右する重要な決断となるかもしれません。

ほんま歯科では、患者様の未来を一緒に考えるトリートメントコーディネーターも在籍しております。気兼ねなく相談してください。

【歯科衛生士監修】

日本と世界の「銀」を巡る歯科事情    銀歯、本当に大丈夫?

月別アーカイブ