歯のコラム column

保険の被せ物 vs. ジルコニア:あなたの未来の口腔内、どうしたい?

2025.09.21

健康について

こんにちは。仙台市若林区新寺の、予防管理型歯科ほんま歯科です。

「虫歯が大きくて、もう詰め物じゃなくて被せ物になりますね。」

歯科医院でそう言われた時、皆さんはどんな選択をしますか?多くの場合、「保険の銀歯」か、「自費の白い歯」か、という選択肢を提示されることでしょう。特に「白い歯」と一括りに言っても、その種類は様々ですが、近年注目されているのが「ジルコニア」です。

今回は、保険診療で用いられる被せ物と、自費診療の代表格であるジルコニアの違いに焦点を当て、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、皆さんがご自身の「未来のお口(健康)」について深く考えるきっかけになれば幸いです。

保険の被せ物 vs. ジルコニア:あなたの未来の口腔内、どうしたい?

保険の被せ物:経済性と機能性のバランス

日本の健康保険制度は、国民が等しく医療を受けられるよう、最低限の医療を保障しています。歯科治療における保険の被せ物の主流は、以下の2種類です。

* 金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯):

* メリット: 保険適用のため費用が安く、金属ならではの強度があります。長年の実績があり、多くの歯科医院で対応可能です。

* デメリット:

* 審美性: 銀色のため、口を開けた時に非常に目立ち、見た目を損ないます。

* 金属アレルギーのリスク: 使用されている金属成分(パラジウム、銀、銅など)が溶け出し、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。口内炎、湿疹、味覚異常などの症状が見られることもあります。

* 歯への負担: 硬すぎるため、噛み合う天然歯を摩耗させたり、銀歯自体の下で虫歯が再発(二次カリエス)しやすい傾向があります。

* 劣化: 長年使用すると、金属が錆びたり変形したりする可能性があります。

* 硬質レジン前装冠(CAD/CAM冠を含む):

* メリット: 保険適用で白い歯を選択できるため、銀歯に比べると審美性が向上します。特にCAD/CAM冠は、近年適用範囲が拡大されています。

* デメリット:

* 強度: プラスチックをベースとしているため、銀歯やジルコニアに比べて強度が劣ります。割れたり欠けたりするリスクがあります。

* 変色: 時間の経過とともに、飲食物の色素沈着などで変色しやすい傾向があります。

* 摩耗: 噛み合わせの強い部分では摩耗が進みやすいです。

保険の被せ物は、費用を抑えて治療を受けたい方や、機能性を重視する方にとっては良い選択肢と言えるでしょう。

自費のジルコニア:美しさと耐久性の両立

一方、自費診療の代表格である「ジルコニア」は、近年その優れた特性から注目を集めています。ジルコニアは「白いダイヤモンド」とも呼ばれる非常に硬いセラミックの一種で、歯科材料としても幅広い用途で使われています。

* ジルコニアのメリット:

* 審美性: 天然の歯に近い透明感と色調を再現でき、非常に自然な見た目です。口を開けても治療した歯とはほとんど分かりません。

* 生体親和性: 金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。人体との親和性が非常に高く、安心して使用できます。

* 強度・耐久性: セラミックの中でも最高レベルの強度を誇ります。奥歯の強い噛み合わせにも耐えられ、欠けたり割れたりするリスクが非常に低いです。長く安定して使用できるため、再治療のリスクを減らせます。

* 汚れのつきにくさ: 表面が非常に滑らかで、プラーク(歯垢)や着色汚れがつきにくい特性があります。これにより、虫歯や歯周病のリスクを低減できます。

* 精度: デジタル技術を用いて製作されるため、歯との適合性が非常に高く、二次カリエスのリスクを低減できます。

* ジルコニアのデメリット:

* 費用: 保険適用外のため、費用が高額になります。

* 調整の難しさ: 硬度が高いため、削るのが難しく、治療に時間がかかる場合があります。

どちらを選ぶ?あなたの「未来のお口(健康)」を想像してみよう

ここまで、保険の被せ物とジルコニアの特性を見てきましたが、では、どちらを選ぶべきなのでしょうか。

この問いに正解はありません。なぜなら、それは「あなたが未来のお口をどうしたいか」という、非常に個人的なビジョンに基づくものだからです。

* 「とにかく費用を抑えたい」「最低限の機能があれば十分」 と考えるなら、保険の被せ物が良いでしょう。しかし、審美性や将来的な再治療のリスク、金属アレルギーの可能性については考慮しておく必要があります。

* 「費用はかかっても、美しい口元でいたい」「金属アレルギーが心配」「一生涯、自分の歯のように快適に過ごしたい」「将来的な治療費を抑えたい」 と考えるなら、ジルコニアは非常に魅力的な選択肢となります。初期費用は高くても、長期的な視点で見れば、再治療の頻度が減り、結果的に経済的であると考えることもできます。

私たちの歯は、食事を楽しみ、会話をし、笑顔を見せる上で欠かせない大切な体の一部です。一度治療した歯は、全く元通りになるわけではありません。だからこそ、どのような素材で、どのように治療するかは、数年後、数十年後のあなたの生活の質に大きく影響します。

「今」の費用だけでなく、「未来の自分」がどんな口腔内で、どんな生活を送りたいのか。ぜひこの機会に、ご自身の健康、そして「未来のお口」についてじっくりと考えてみてください。そして、その思いをトリートメントコーディネーターに伝え、納得のいく治療を選択することが、何よりも大切です。

ほんま歯科では、患者様の未来を一緒に考えるトリートメントコーディネーターが在籍しております。気兼ねなく相談してみてはいかがでしょう。

 

【歯科衛生士監修】

保険の被せ物 vs. ジルコニア:あなたの未来の口腔内、どうしたい?

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