歯のコラム column

無糖の炭酸水も歯に悪いの?

2025.11.25

むし歯

無糖の炭酸水も歯に悪いの?〜知っておきたい“酸”のリスク〜

こんにちは。仙台市若林区新寺の予防管理型歯科医院「ほんま歯科」の歯科衛生士Yです。

「ジュースじゃないから大丈夫」
「無糖の炭酸水はヘルシーって聞いたし、毎日飲んでる」
こんなふうに、健康意識の高まりとともに、日常的に無糖の炭酸水を飲まれている方が増えています。

確かに、糖分を含まない無糖炭酸水は、清涼飲料水などに比べれば身体にやさしい飲み物です。ただし、「糖分が入っていない=歯にも安全」とは限らないことをご存知でしょうか?

今回は、炭酸水が歯に与える影響について、歯科の視点からやさしく解説いたします。

無糖の炭酸水も歯に悪いの?

炭酸水は“酸性”の飲み物

炭酸水には二酸化炭素(CO₂)が溶け込んでおり、水と反応して「炭酸(H₂CO₃)」という酸になります。その結果、炭酸水のpHは4〜5程度と、弱酸性の飲み物になります。

歯の表面を覆っているエナメル質は、**pH5.5以下になると徐々に溶け始める(脱灰)**ことがわかっています。つまり、無糖であっても、炭酸水に含まれる酸が歯の表面にダメージを与える可能性があるのです。

「糖がないから虫歯にならない」では片づけられない理由

虫歯といえば、「甘いものを食べると虫歯になる」と考える方が多いと思います。これは間違いではなく、糖分が虫歯菌のエサとなって酸を生み出し、歯を溶かす仕組みです。

しかし、炭酸水の場合、そもそも飲み物自体が酸性です。つまり、虫歯菌の働きがなくても、酸によって直接歯が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」という別のトラブルにつながることがあるのです。

無糖の炭酸水も歯に悪いの?

酸蝕症とは?

酸蝕症とは、飲食物に含まれる酸が原因で歯の表面が溶けてしまう状態です。虫歯とは異なり、細菌の関与がなく進行するため、自覚しにくいのが特徴です。

初期には、

· 歯がツルツルしている

· 冷たい飲み物がしみる

などの症状が見られ、進行すると、

· 歯の黄ばみ(エナメル質が薄くなって象牙質が見える)

· 歯が欠けやすくなる

· 知覚過敏が強くなる

といった問題が起きやすくなります。

炭酸水を歯にやさしく楽しむためのポイント

炭酸水は、糖分を含まない分、体にとっては良い飲み物です。極端に避ける必要はありませんが、飲み方の工夫で歯への負担を軽減できます。

◎ だらだら飲まない・口にためない

炭酸水を長時間かけて飲んだり、口の中に含んで味わったりすると、歯が酸にさらされる時間が長くなり、脱灰のリスクが高まります。
なるべく短時間で飲み切るようにし、口に含まずスムーズに飲むようにしましょう。

◎ 飲んだ後は口をゆすぐ

炭酸水を飲んだ後、水やお茶などで口を軽くゆすぐことで、酸を薄めて中和することができます。
うがいは歯への負担を減らす手軽な方法です。

◎ 食事中に飲むのが理想的

食事中は唾液の分泌が多くなり、酸を自然に中和してくれます。炭酸水を楽しむなら、食事中や食後にするのがおすすめです。

歯科医院でのチェックも大切です

酸蝕症は、虫歯のように黒くなったり穴があいたりするわけではないため、気づかないうちに進行してしまうケースもあります。

そのため、定期的な歯科検診でエナメル質の状態や、酸蝕の初期サインをチェックしてもらうことがとても大切です。

「歯の表面がしみる」「歯がツルツルしている気がする」といった症状に心当たりのある方は、早めに歯科でご相談ください。

最後に

無糖の炭酸水は、健康的な選択肢のひとつです。しかし、「酸性である」という性質があることを知っていれば、より安心して楽しむことができます。

ちょっとした工夫を心がけるだけで、歯への負担を減らすことができます。何気なく続けている飲み物の習慣を、ほんの少し見直してみませんか?

ほんま歯科では、複数の歯科衛生士が在籍し生活習慣病であるお口の健康に関する歯磨き粉やその他のオーラルケアのグッズや日常生活の中で歯を守るためのアドバイスも行っています。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

【歯科衛生士監修】

無糖の炭酸水も歯に悪いの?

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