歯のコラム column
歯磨きをしているのになぜ虫歯になるの?
2024.11.07
むし歯こんにちは。仙台市若林区新寺の歯科衛生士Kです。
先日、患者さんに「歯磨きをしているのに、なぜ虫歯になるのかしら?」と聞かれました。
毎日20分の歯磨き、フロス、歯間ブラシを使用しています。ご家族は、そこまで丁寧に歯磨きしている様子はないが虫歯がないと、おっしゃっていました。今回は、歯磨きをしても虫歯ができてしまう理由と、その対策についてお話をしていきます。
前述のように、同じように歯磨きしていても、虫歯になりやすい人とそうでない人がいます。理由は、色々と考えられます。磨いているつもりでも、きちんと磨けていないこともあるでしょう。まず、きちんと磨けていると仮定して、以下の事が考えられます。
①食生活の悪さ
②口腔内菌叢の悪さ
③唾液の量や性状の悪さ
④歯の質の悪さ
<食生活>
(1)間食が多い
甘い食べ物、飲み物、甘くはないがパンやおせんべい、スナック菓子も虫歯菌のエサ(砂糖、果糖、デンプン)を含みます。そのようなものを口にしているほど虫歯のリスクは上がります。
間食をする習慣のある人は、お口の中が酸性に傾きやすく虫歯になりやすくなります。(虫歯菌が、糖をエサにして酸をだします。この酸のせいで歯の表面が、溶ける状態が虫歯です)
(2)加工食品を食べることが多い
軟らかい加工食品は歯にくっつきやすく停滞しやすいため虫歯になりやすくなります。
(3)夜遅い時間に食べる
食事の時間が遅いと酸性に傾いたお口の中が、唾液で中和されないまま就寝されると、唾液の量が減る就寝中に細菌が増え、虫歯になるリスクが高くなります。
(4)酸性食品をよく食べる
酸っぱい物は、健康によいとされますが、習慣になると歯にとっては良くありません。虫歯菌によって歯が溶かされる虫歯とは異なりますが「酸蝕症」と呼ばれ、歯が全体的に溶かされてしまいます。
<口腔内菌叢の悪さ>
唾液の量が少ない人は、何か食べたり、飲んだりするたび『脱灰⇄再石灰化』が繰り返されます。
脱灰→酸で、歯の中の「カルシウム」「リン酸」という成分が少しずつ溶け出す
再石灰化→唾液によって、溶け出した「カルシウム」「リン酸」が歯の中に戻っていく(個人差はありますが30分〜2時間くらいで戻っていく)
一日中何かを飲んだり食べたりし続けていると、唾液が働く暇がないくらい次々と酸がつくられていきます。
脱灰と再石灰化のバランスが崩れて虫歯になりやすくなります。
<唾液の量や性状の悪さ>
(1)口呼吸をしている
お口の中が乾燥した状態になり、虫歯や歯周病、口臭のリスクが、高まります。
(2)ストレスを多くかかえている
ストレスで唾液の分泌が衰え、お口の中の環境が悪くなることがあります。
(3)服用薬の副作用
副作用でお口の中が乾くと、細菌が増え虫歯のリスクが高まります。
お口の中を潤している唾液には、汚れを洗い流したり(自浄作用)や抗菌作用などがあり、お口の中の環境を健康に保つ働きがあります。
<歯の質の悪さ>
(1)歯の汚れが取りきれてない
歯磨きを丁寧に頑張っていても、汚れが取りきれてないことがよくあります。
(2)歯並びが悪い
詰め物、被せ物が多い
歯と人工物の間の段差に汚れが溜まりやすく、虫歯になるリスクが高まります。
(3)歯磨きはハブラシのみで行っている
ハブラシだけの歯磨きでは、どんなに丁寧に磨いても全体の6割程度しか汚れを取りきることができないと言われています。取りきれてない汚れはいずれ虫歯を作りだします。
【虫歯にかかりにくくする対策法】
お口の中に虫歯菌のエサとなる糖を残さないようにすることが大切です。
・甘い物など、ダラダラ食べないようにする。
・寝る前は食べない。生活習慣や食習慣を少し見直してみて下さい。
・唾液をよく出すようによく噛む。(キシリトールのガムなど)鼻呼吸をして、お口の中が乾かないように意識しましょう。
・歯磨きは、磨く場所にあわせて道具を使い分けるのがオススメです。(歯間ブラシ、ワンタフトブラシ、デンタルフロスなど)汚れ除去率が大幅にアップします。
・虫歯予防には「フッ素」が効果的です。(高濃度フッ素入り歯磨き剤、フッ素洗口)
定期検診を受けて、お口の状態のチェックやクリーニングをして、自分の歯で、ずっと美味しく食事ができるようにしていきましょう。