歯のコラム column
歯並びの良い子に育てよう
2023.12.25
小児歯科・小児口腔機能管理こんにちは、仙台市若林区新寺のほんま歯科のkです。
[育児環境を見直そう]
その④食べ物・食べ方を見直してみましょう。
◇過去の記事はこちら
https://honma-dental.or.jp/column/detail.html?id=339
1.未開の地の人びとの食生活から 学ぼう
世界にはさまざまな種族の人がいます。そこで、米国の学者のprice先生が世界中の人びとの歯の状態の調査を行った結果をまとめた書物"Nutrition and Physical Degeneration"という本を出版しています。そこには「文明食が身体の退化をもたらした」とあります。
奥地の未開拓の地に住む原住民の顎はしっかりしていて、歯並びもとても良い状態に対し、都市に近い文明が入った地域では、むし歯のある子どもや歯並びの悪い子どもが増えてきているという現象が、どの地域でも同様に観察されたそうです。
ここからも「人間は動物の一種であり、もともと不正咬合はなかったはず」と考えられます。
未開の地の人びとは、動物をとらえてほぼそのまま食べていたのに対し、加工食品、ファストフードなど、文明の発達により安易に空腹を満たせる食事がある現代では、しっかりした顎骨や強靭な筋肉は不要になり、不正咬合が増えても仕方ないような状況になっているような気がします。
私も子どもの頃は「よく噛んで食べなさい!」と親に言われてきましたが、今では家族のあまりにも早い食べっぷりに「しっかり噛んで!」と声をかけることが多くなりました。しかし返答は「噛んでるよー。飲み込めるもん。」と。食形態から噛む必要がなくなってしまったんだなぁと実感しています。子どもの歯が生え揃う2歳半頃から少しずつ、前歯でかじり取り、奥歯でしっかり噛むことを教えていきましょう。食べやすいミンチ肉ばかりだけではなく、時には未開の地の人たちの食事を見習ってスペアリブなどの骨つき肉も食べてみましょう。噛みごたえのあるイカや、タコもオススメです。食事で口の機能を発達させることの重要性を再認識して、食材、調理法を選んでみましょう。
2.徳川将軍の骨からも学んでみる
徳川将軍の骨を調べた書物に、「上下のあごの発達が悪いため、歯並びが悪い。歯はすり減っておらず、ほとんど噛む必要がない軟らかいものを食べていたと推測される。」とあります。
食べ物をあまり噛まずに飲み物で流し込んでいる子は、顎の骨や筋肉が発達せず、顎関節も弱々しく顎関節症になる可能性が高くなります。もちろん遺伝要素もありますが、環境も成長発育に大きな影響を与えます。
車やエレベーターばかり利用して、あまり足腰を使わないと、骨折しやすい弱い足腰になってしまうように、あまり噛まないでいるとひ弱な顎になり問題を起こしやすくなります。子どもにガムトレーニングをさせると顎の成長を促してくれるという研究結果もでています。ガタガタの歯並びの予防にもつながる可能性があります。
3.飲み物は置かずに自分の唾液で
しっかり噛むことと食事中の飲み物は密接な関係があります。食事中に飲み物があると、あまり噛まずに流し込んでしまう癖がついてしまいます。大人になってからも食事中飲み物がないとご飯が食べれないと思う人は、しっかり噛んでないのかもしれませんね。
唾液には免疫物質や抗菌物質が含まれているので感染を防げる可能性があります。ほかにも、しっかり噛んで食べることでメタボ改善、脳の働きが活性化される、精神を安定させるとも報告があるのて、食事中の飲み物をやめ、しっかり噛み、唾液の作用を十分に生かす食事をしましょう。
4.足がきちんと床や台につくように
足が宙ぶらりんの状態で食事をしていませんか?お年寄りの食事を介護する場合にも気をつけることですが、足をしっかり床につけないと姿勢も悪くなり、力も入らず、しっかり噛むことができません。
5.口唇をしっかり閉じているかチェックしよう
「よくこぼす」「口周りに食べかすがついてしまう」のは危険サインです。口呼吸の子どもは食べるときも口唇を開いていて、クチャクチャと音をたてて食べています。
6.両側の奥歯で噛んで
子どものうちは、むし歯や生え替わりの歯があると避けて噛もうとします。それが癖になって同じ側ばかり噛んでしまう子もいます。そうすると顔の非対称につながってしまうことがあります。
大人になってから顔の非対称や、顎関節症の問題に気づき悩まされる方もいます。子どものうちから悪い癖にならないよう気をつけましょう。
今、食事の大切さが見直されています。家族みんなで、テレビを消して、姿勢よく、口唇を閉じて、奥歯でしっかり噛んで食べましょう。