歯のコラム column

インプラントは誰でも出来るの?

2022.01.28

未指定

こんにちは。院長の本間です。

今回は私が担当します。

患者様より時々、「インプラントって私でも出来るの?」と質問されることがあります。

そこで今日はインプラントをお口の中に入れるに当たって注意が必要な項目を書きたいと思います。

以下に書いた項目は代表的なものでありますので、詳細は主治医によく相談してください。

➀糖尿病

この方は傷の治りが悪く、細菌の感染がしやすく、出血しやすいので注意が必要です。インプラントはご自分の歯よりも歯周病に注意が必要です。一旦、インプラント部位が歯周病菌に感染すると最悪脱落してしまいます。

 

手術に当たっては、空腹時血糖:140mg/dL以下、ケトン体(-)、HbA1c:6.9%(NGSP 値)未満を適切とします。

➁骨粗鬆症

ビスフォスフォネート系薬剤または骨吸収抑制薬を服用されていると、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)を引き起こすリスクがあります。

本来、骨は古い骨が吸収して、新しい骨が再生するのを繰り返していますが、何らかの原因で新しい骨が出来にくくなり、骨密度が少なくなってくることがあります。そのような方に対して、投与されるお薬としてビスフォスフォネート系薬剤または骨吸収抑制薬があります。この薬の作用は、骨の吸収を抑制して骨密度を保つようにすることです。

しかしながら、正常な働きでは骨が溶けて、新しい骨を作るのが繰り返されるのに対して、骨吸収抑制薬によって骨が溶けないために、骨を作る働きがますます弱くなってしまい、古い骨が感染を起こすことで骨が腐る病気のことを骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)と呼んでいます。

これは比較的最近の症状であって非常に難治性です。

③喫煙者

口の中の血管が収縮して栄養が行き渡らず、傷の治りが悪く、インプラントがくっつかなくなる原因になります、

喫煙を継続すると歯周病が悪化するだけでなく、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病のこと)やインプラント周囲骨の吸収を惹起する可能性が高くなります。基本は禁煙してからの手術になります。(外科手術前後で各4週間禁煙が絶対条件ですが、インプラントをいれた後も禁煙しないと長持ちしませんので基本はずっと禁煙していただきます)

手術計画にあたって、喫煙経験年数と 1 日の喫煙量、タバコの種類を確認およびインプラント治療に先立って禁煙指導(禁煙外来などへの紹介)を行います。

④高血圧

上と下の値が140/90mmHg以上の場合、血圧のコントロ-ルをお医者さんにしていただいてからの手術になります。

その理由は手術中の血圧上昇により血が止まりにくくなったり、術後出血が起こったり、 また、高血圧症のリスク である動脈硬化が原因で、脳(脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞)、心臓(狭心症、心筋梗塞、心不全)、 腎臓(腎機能障害、腎不全)などに合併症が手術時に起こる可能性が高くなるからです。

⑤腎不全・透析中

高度の腎機能障害がある場合や腎不全で透析を受けて いる患者さんではインプラント治療は禁忌になります。

手術時に出すお薬を肝臓代謝型にする必要があります。

⑥心筋梗塞と狭心症

発作が6 か月以内の方やコントロ-ルできていない方は、手術できません。

 

⑦脳血管症障害

(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)

血が固まりにくいお薬を飲んでいることが多いので注意が必要です。

⑧血管疾患

血友病などの先天性血液凝固因子欠乏症,血小板減少性紫斑病,急性白血病, 慢性白血病,重度の貧血の方は、出血のコントロールが難しいので注意が必要です。

⑨自己免疫疾患

潰瘍性大腸炎,関節リウマチ,シェーグレン症候群,天疱瘡,膠原病などの自己免疫疾患の患者で、長期間のステロイド薬を服用されている方。

⑩妊婦

妊娠中は手術できませんので、出産後体力の回復を待っての手術になります。

⑪骨の成長途中の方

おおよそ16歳未満ですが、個人差はあります。

⑫歯ぎしりや食いしばりがすごい人

インプラントが破折する原因になります。

⑬重度の顎関節症

ある程度お口があかないと手術をする事が出来ません。

⑭口の中で悪い癖がある方

片側でしかかまなかったり、舌を極端に歯に押しつけたりする癖があるとインプラントに問題が起きやすくなります。

⑮骨の量が足りない方

骨を作る手術により以前に比べてインプラントができる患者さんは増えました。しかし、骨を作ることには限界があり、骨を作る手術をしても骨の量が足りない場合インプラントの手術できません。

⑯薬物やアルコール依存症の方

麻薬やアルコ-ル依存症の方は手術できません。

⑰精神疾患

神経症、統合失調症、人格障害、うつ病の方は手術は避けた方が良いです。手術がきっかけとなり症状が悪化することもありえるからです。

また、認知症やパーキンソン病の方は手術後のインプラントの管理が困難になるため手術はしない方が良いです。

⑲チタンアレルギーの方

日本の主流インプラントはチタン金属製ですので、チタンアレルギ-の方は埋入できません

⑳口の中の衛生状態が悪い方

インプラントも歯周病菌に感染します。衛生状態が悪いと手術後の治りも悪く感染のリスクが高いので手術できません。

まとめ

インプラント治療は十分な診査診断を行いその後のメインテナンスをきちんとすれば、歯科治療においては最高位の成功率の治療になります。過去にインプラントされて失敗した患者さんにおいては、インプラントを植えるのは成功したとしても、その後の管理が良くなかった場合も多くあります。(自分の歯が歯周病になるようにインプラントも歯周病になります。むしろご自分の歯よりも歯周病菌への抵抗性は弱いです)そしてインプラントの治療に当たっては、上記に書いた以外にも様々な事柄がインプラント成功に関係するので、十分に主治医の歯科医師と相談してください。そのためには、現在通われているお医者さんとの連携もしくは、現在お医者さんに通っていなくても歯科医師から全身状態を確認するために通院していただくことがあります。

 

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