歯のコラム column
子どもの歯並び…パート7
2022.11.17
未指定こんにちは。歯科衛生士のKです。
これまで「子どもの歯並び」についてお話ししてきましたが、今日は「舌の癖と歯並びへの影響」についてお話しをしましょう。
歯並びをよくするには、お口周りの筋力のバランスが大事です!
正しい舌の位置や唇の状態、飲み込み方などを覚えていきましょう。
[態癖について]
誰にでも癖の1つや2つはあるものですが、中には歯並びやあごの発育に悪影響を与え、顔や全身の歪みにつながる「態癖」と呼ばれる癖があります。
態癖は、日常生活で意識することなく習慣化していることが多いため、本人が気づかないケースがほとんどです。
知らないうちに歯や骨に悪影響を及ぼしているかもしれません。
「態癖」
・頬づえ(いつも同じ方)
・口呼吸 ・うつぶせ寝
・爪噛み ・指吸い
・片噛み ・横向き寝(同じ方向を向く)
なぜ癖だけで歯が動くの?
じつは歯は、たった数グラムの弱い力が継続的に加わるだけで動いてしまう性質があります。
それを利用しているのが矯正治療です。
人間の頭は子供でも1キロ以上あるため、横向き寝やうつぶせ寝で歯を押した状態で眠ると、知らず知らずのうちに歯が動き、歯並びやかみ合わせを悪くし、顔の歪みなどを引き起こします。
永久歯に生え変わる成長期のお子さんは、特に歯が動きやすいため注意が必要です。
態癖は本人が気付けば、意識して止めることが可能です。
家庭で生活習慣を見直して、態癖がないかチェックしてみましょう。
[舌癖について]
日常の生活の中で、夢中になって本を読んだりテレビを見ているときに、口をポカーンと開けて上下の歯の間に舌が出ていたり、飲み込むときに舌を前に突き出し、歯を押すような動きをすることがあります。
これを、舌癖といいます。
飲み込むときに舌を前に出す行動は、赤ちゃんの時におっぱいを飲む時に起こる動作(乳幼児嚥下)で、歯が生えて離乳食から食事が変わる過程で自然と舌が前にでなくなります。
食育が歯の年齢に合わない場合、舌が上手く使えないお子さんは大人になっても乳幼児嚥下をしてしまい、舌癖となってしまいます。
舌癖のある人は、いつも舌がくちの中で低い位置や前方にあり歯を押しています。そして、飲み込むときに、さらに強い力で歯を押し出します。
そのうえ唇や頬の筋肉の力が弱く、特にいつも口を開けている人は外側から歯を押さえる力がありません。
私たちは1日に600〜2000回も無意識に飲み込む動作(嚥下)をしています。
舌癖(乳幼児嚥下)のある人は、飲み込むたびに舌で歯を押していることになります。
そのため、出っ歯になったり、歯と歯の間にすき間が開いたり、上下の歯がかみ合わなくなることがあります。
また、話をするときには、そのすき間に舌が入るため、サ行、タ行、ナ行、ラ行などが舌たらずな発音になることもあります。
このように、舌癖があると歯並びや発音に大きな影響を及ぼします。
[舌癖の原因]
1.口を開けて息をしている
(口呼吸をするため、舌がいつも
低い位置にある)
鼻の病気ーアレルギー性鼻炎
慢性鼻炎
蓄のう症 など
喉の病気ー扁桃肥大
アデノイド など
2.舌の裏の筋が短い(舌小帯)
(舌小帯が短いため、舌が上あごに
つきにくい)
3.指しゃぶり
(前歯にすき間ができ、舌が出やす
くなる)
4.遺伝
(顔の形や歯並びにより舌癖がでや
すいタイプがある)
[トレーニングの進め方]
レッスンの内容を説明し、1人で出来るようになるまで練習をします。
家庭では1日に2回、できればそれ以上は練習をしてレッスンをマスターしましょう。
1つのレッスンが上手になってから、次のレッスンに進みます。
当院では一年目標を計画し、年齢、歯並び、協力の状態により、レッスンの内容や期間を決めています。
レッスンが終了しても、3ヶ月に一度は舌癖が後戻りしていないかどうかを確認していきます。
[トレーニングの目的]
1.舌の筋肉の力を強くする。
2.唇や頬、お口の周りの筋肉に力を
つける。
3.正しい飲み込み方を覚える。
4.トレーニングで覚えた下の位置や唇
の状態を保ち、日常の生活の中で、
正しい飲み込み方を習慣にする。
*これから身につけること
・これからの練習のために舌の動きをよくして力をつけます。
・正しい舌の位置と唇の状態を覚えます。
(唇を閉じて、舌は上顎に付いているようにします。)
・正しい飲み込み方を覚えます。
(唇をカルキ閉じ舌は上顎に付けたまま飲み込みます。)
・口の周りの筋肉に力をつけます。
本来、生まれてすぐ未熟なうちから使っている動きで自然に獲得すべき口腔機能ですが、上手に「機能」が働いていないと「形態」を変えてしまいます。
何が正常か見極め、何が足りないのか自分に合ったトレーニング方法を見つけてみましょう。