歯のコラム column
【重要】知っていますか?お子さんの「小児口腔機能発達障害」について
2025.12.20
小児歯科・小児口腔機能管理こんにちは。仙台市若林区新寺の予防管理型歯科、ほんま歯科の歯科衛生士のKです。
「うちの子、いつも口が開いている」「食べるのが遅い」「滑舌が悪い気がする」…もしかしたら、こんなことで悩んでいませんか?実は、それらは**「小児口腔機能発達障害」**という、お子さんの成長に深く関わる問題かもしれません。
小児口腔機能発達障害とは?
小児口腔機能発達障害とは、お口の周りの筋肉(舌や唇など)の発達が未熟なために、食べる、話す、呼吸するなど、お口の機能がうまく使えない状態を指します。
最近では、食生活や生活習慣の変化から、この問題が増えていると言われています。現代の食生活は、昔に比べて柔らかいものが多くなり、しっかりと「噛む」機会が減っています。また、スマートフォンやゲームの普及により、うつむく姿勢が多くなり、口を閉じる筋肉が十分に発達しないことも一因と考えられています。
なぜ口腔機能は大切なの?
お口の機能は、単に食事や会話のためだけにあるのではありません。実は、全身の健康や成長に密接に関わっています。
* 食べる機能:食べ物をしっかりと噛み砕き、飲み込むことは、消化吸収を助けるだけでなく、顎の発達を促し、脳への刺激にもつながります。
* 話す機能:舌や唇、頬の筋肉を細かく動かすことで、発音は正確になり、コミュニケーション能力の基盤を築きます。
* 呼吸の機能:鼻で呼吸することで、ウイルスや細菌が体内に侵入するのを防ぎ、また酸素を効率よく体に取り込むことができます。口呼吸はこれらの機能がうまく働かない状態です。
こんな症状があったら要注意!
以下のような症状がお子さんに見られたら、一度チェックしてみてください。
* いつも口がポカンと開いている:口呼吸の原因となり、お口の中が乾燥しやすくなります。これにより、風邪をひきやすくなったり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、口呼吸が続くと、舌の位置が下がり、歯並びが悪くなることもあります。
* 食べるのが遅い、好き嫌いが多い:噛む力が弱く、食べ物をうまく噛み砕けなかったり、飲み込むのに時間がかかったりすることが原因かもしれません。特に野菜や肉など、噛み応えのあるものを避ける傾向が見られます。
* 食べ物を頬張る、くちゃくちゃ音を立てる:食べ物を一度にたくさん頬張ったり、クチャクチャと音を立てて食べたりするのは、正しい食べ方ができていないサインかもしれません。
* 滑舌が悪い、特定の音が言えない:「サ行」や「タ行」、「ラ行」が言いにくい、言葉が不明瞭など、舌の動きが未熟な場合があります。
* いびきをかく:口呼吸が原因で、就寝時にいびきをかくことがあります。これは睡眠の質の低下につながり、日中の集中力や学習能力に影響を及ぼす可能性があります。
* 姿勢が悪い:お口の機能と全身の姿勢は密接に関わっています。口を閉じる筋肉が弱いと、顎の位置が安定せず、猫背気味になるなど、姿勢が悪くなるお子さんも注意が必要です。
* よだれが多い:お口をしっかりと閉じることができないため、無意識によだれが出てしまうことがあります。
放置するとどうなる?
「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、様々な問題を引き起こす可能性があります。
* 歯並びが悪くなる:舌が正しい位置(上あごのスポット)に収まらず、歯を内側から押すことで、出っ歯や開咬(前歯が噛み合わない状態)などの不正咬合を招きます。
* 虫歯や歯周病のリスクが高まる:口呼吸によってお口の中が乾燥すると、唾液の自浄作用が弱まり、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しやすい環境になります。
* 集中力が低下する:口呼吸による睡眠の質の低下や、脳への酸素供給が不十分になることで、日中の眠気や集中力の低下、学習意欲の低下につながることがあります。
* 顔つきが変わる:お口の周りの筋肉がうまく使えないことで、顎の発育が不十分になり、面長な顔つき(アデノイド顔貌)になることがあります。
* 精神的な問題:滑舌が悪いためにうまく話せず、人前で話すことをためらったり、コンプレックスを抱えたりすることもあります。
早期発見・早期治療が大切!
小児口腔機能発達障害は、お子さんが成長するにつれて自然に治るものではありません。症状に気づいた時点で、適切なアプローチを始めることが重要です。
ほんま歯科では、お子さんのお口の状態や発育状況を詳細にチェックし、一人ひとりに合わせたトレーニング方法(MFT:口腔筋機能療法)をご提案しています。
MFTは、お口の周りの筋肉を鍛えるための簡単なトレーニングです。ご自宅で毎日少しずつ行うことで、お口の機能を改善し、正しい成長を促すことができます。トレーニング内容は、お子さんが楽しく取り組めるような工夫も凝らしていますので、ご安心ください。
お子さんの「ちょっと気になるな」というサインは、成長のヒントかもしれません。早期に発見し、適切な治療とトレーニングを行うことで、お子さんの健やかな成長をサポートすることができます。
「もしかして?」と思ったら、どうぞお気軽にご相談ください。お子さんの未来のために、私たちと一緒にできることから始めていきましょう。
【歯科衛生士監修】