歯のコラム column

歯医者さんと金属アレルギーのお話

2022.10.11

未指定

こんにちは

仙台市若林区のほんま歯科院長の本間です。

本日は歯科に関わる金属についてお話いたします。

皆さん

金属は口の中で少しずつ溶けているのを知っていましたか?

じつはこの金属が解けるという事象によって、金属アレルギーが引き起こされているのです。

現在、保険で使われている金銀パラジウム合金は60年以上前から日本で使われてきました。そしてこの金属はお口の中で溶けます。溶けた金属は口の中や胃や腸から吸収され血液によって全身に運ばれて到達した部位の皮膚アレルギー(手や足が多い:これは汗の中に溶けた金属が出てきやすいためと言われています)や直接接触しているお口の中の粘膜が赤くなったり、ピリピリしたりする症状(扁平苔癬:中年の女性に多く、痛みを伴うことがあり食事が食べづらくなる)を起こすことがあります。

歯科金属アレルギーは50歳代に多く、男性より女性に6倍近く多く見られます。

また、

アレルギー反応が多い金属では

第一位 水銀

高い理由として昔、消毒薬に使われていたマーキュロームなどが原因ともいわれています。歯科において水銀が使われているのは、昔奥歯などに詰めた銀歯のアマルガムがあります。私自身この金属は学生実習でしか扱ったことがありません。さらにこの実習でつかったアマルガムの廃棄処理は産業廃棄物として厳重に廃棄処理された記憶があります。そんな金属がお口の中に入っていると思うとあまり良い気はしません。

 

第二位 亜鉛、スズ、クロム、コバルト

 亜鉛は歯科で昭和40年ころまで使用されていました。現在も歯科用金属の添加物として微量入っています。

スズも歯科用金属の添加物として微量入っています。

クロム、コバルトは入れ歯の金属としてよく使われています。

 

第三位 ニッケル

ニッケルは昭和50年後半に歯科用の大きなかぶせもの(いわゆる銀歯)で保険適用されましたが、操作性の悪さやよく口の中で溶けることからあまり使われなくなりました。私はこれを使ったことはありません。

 

それでは、金属アレルギーが疑われるときの流れについて書きます。

①     問診

②     皮膚科などの専門医の受診を勧めます

③     皮膚科でも難治性で治らない場合は、歯科金属アレルギー検査をお勧めします。

④     陽性ならお口の中の金属を除去します

この時に除去後、次の日に症状が悪化することがあります。これはお口の中の金属を除去する際に、どうしてもその切削粉を吸収してしまうためです。もしこの反応が出たら金属アレルギーがより確定的になります。

⑤     使用できる材料を模索します

⑥     銀歯を外した部位の修復処置を行います

 

大まかではありますが、この流れで金属アレルギーが疑われる方の治療を行っています。

もし、皮膚の専門医で治療しているのにもかかわらず、なかなか改善しないアトピー性皮膚炎や湿疹、掌蹠膿疱症の方は一度、当院にご相談ください。

ただし金属アレルギー検査で陽性の出た金属を除去交換したからといって、確実に治るわけではありません。他にもいろいろな原因があるのがアトピー性皮膚炎や湿疹、掌蹠膿疱症であって、そのことが治療を困難にする理由になっています。

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