歯のコラム column

手術の前の歯科治療はなぜ必要?

2023.02.15

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今回は外科手術の合併症と口腔ケアについてお話しします!

口の中の細菌

手術の前の歯科治療はなぜ必要?

お口の中には実は沢山の細菌が潜んでいます。虫歯や歯周病を引き起こす原因菌以外にも無数の細菌が存在します。

お口の中は湿度も高く温かいため細菌の恰好の温床です。そのため口腔ケアを疎かにしてしまうと細菌の数がどんどん増えてしまいます。

こうした口の中の細菌が外科手術の際に悪さをおこしてしまうことがあります。実際、手術を全身麻酔で行うとき、お口の中が不衛生だと手術をした部位が感染を引き起こすリスクが高くなります。口の中の細菌は唾液と一緒に飲み込んでしまうため手術した部位に感染してしまいやすく、そのため治癒が遅れてしまう可能性があります。

 

さらに口の中の細菌は肺炎の原因にもなると言われています。

高齢になると飲み込む力が弱くなってしまい、気管に唾液や食べ物が誤って入ってしまう「誤嚥」を引き起こしやすくなります。

その時に一緒にお口の中の細菌も一緒に気管に入って肺までいってしまい肺炎になりやすくなることが分かっています。

こういったことを誤嚥性肺炎と呼んでいます。誤嚥性肺炎は手術で抵抗力が下がった患者さんでは発症するリスクが高くなります。最悪死に至る場合もあるためできるだけその危険はなるべく避けたいいのでこうしたいろいろな感染を防ぐためには手術の前にお口のケアをしっかり行い細菌の数を減らしておくことが大切になってきます。

歯のぐらつきは手術の前に治療を!!

手術の前の歯科治療はなぜ必要?

歯のぐらつきは手術となんの関係があるのか?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実はしっかりと治療を受けておかないと手術のときに歯が破折してしまったり抜けてしまう可能性があります!

全身麻酔をともなう外科手術の際には、人工呼吸を行います。口から喉の奥へチューブを通して酸素や麻酔のガスの通り道を開きます。これを気管内挿管といい喉の奥を見る器具を使って気管へチューブを入れるのですが、その際に歯が破折たり欠けたりしやすいのです。

 また、全身麻酔の手術の際、気管のチューブを挿入しようとすると、お口の中の細菌も気管に入り込むことになってしまうため、それによって肺炎を起こしてしまう危険性があります。

手術の前にはどんな歯科治療を受ければいいの?

手術の前の歯科治療はなぜ必要?

外科手術の前に歯科治療を受けた方がいい理由はおわかりいただけたかと思います。では、どんな治療をすれば良いのでしょう?

まずは、歯医者さんで診察です。そして虫歯などがあれば応急処置をし、グラグラしている歯があれば歯の固定を行うか抜歯をします。気管内挿管のとき歯を固定するためにマウスピースを作る場合もあります

また、歯石取り、クリーニングをします。口腔内の歯垢(プラーク)を除去しお口の中の細菌を減らすことで感染のリスクを下げます。

もちろん、歯磨き指導もしっかりと行います。

口腔ケアを行うことによって、入院日数が短くなったという報告もあります。口腔内がきれいになったことで、手術部位の感染や肺炎などが減って退院するのが早くなったと考えられます。
さらに手術後も、口腔内の清掃が保てるように専門的ケアを行います。

 手術を受ける病院に歯科や口腔外科がある場合であれば事前の歯科治療も院内で行うことができます。

ですが、通常は入院前に手術する病院から歯科医院へ治療を依頼し入院するまでの間に処置を行うことになります

手術までに治療を全て終わらせることが望ましいですが入院するまでの期間を取れないことも多いためそういった時は応急処置になります。

ですので、日頃からと定期的に歯医者に通院しお口のケアに努めていくことが大切です!

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